変化のオーラ

黒煙

第1話 激痛

 「あ・・・これください・・・・」

コンビニ店員は「挙動不審な男だな」といった目で品物をレジに通す。


内山は対人恐怖症なのだ。社会不安障害ともいうかもしれない。

友人はほとんどいない。

内山から人に声をかけるなど不可能に近く、バイト先でも話す人はいない。

30を過ぎてアルバイトという後ろめたさが余計に彼を萎縮させているようだ。


彼は自害を考えていた。

こんな生き方で、こんな世界で、いったい何の希望があって生きていればいいのだろうか。


彼は人生に絶望していた。

楽しげにレストランで談笑しながら食事をしている人を見ると、余計にこの世界から消えたくなるのだ。


そんなある日、彼の体に異変が起こった。


シャワーに浴びようと全裸になると、体中に電流が走ったような激痛が走った。

つま先から段々と体の上部へ電流は駆け上がっていく。


このままでは脳まで達してしまう。

本当に死んでしまう!!


「ごめんなさい!!ごめんなさい!!許してください!!!」


命乞い!まさに命乞いである。

あれほど死にたかった男の、まさかの命乞い!


すると、魔法が解けたかのように、電流は体から引いていき、

彼の体は正常の状態に戻ったのであった。



彼の呼吸は激しかった。

何がおこったかわからなかったが、命乞いした自分を強く恥じると共に、

生きているということのありがたみを実感するのであった。



その日、彼は仕事を休んだ。

その日、一日中彼はうなされていた。

体中に鈍痛がする。

食欲もない。

一日中、布団の上でうめいて過ごしたのだった。

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