2024年3月28日「これ、どう思う?」
「これ、どう思う?」
紗奈がベッドの上で僕にピッタリとくっついてスマホでカクヨムを見せる。
そこに書かれたタイトルはまあ……。
「KACのめがねから連想してこれを?」
紗奈は首を横に振る。
「ううん、日常系で流行りのNTRものに挑戦しようと思って書いて、たまたまKAC期間だったから合わせてみただけ。
単純にNTRものは好きじゃないけど、なぜ好きじゃないのかとか、自分には本当に書けないのか挑戦してみようと思って。
ほら、例のテンプレ転生物も挑戦してみたいに」
例のテンプレ転生とはサークとルタスのギャグ話のことだろうか?
あれは転生テンプレといえたかどうか……。
まあ、今はそのことはいいとして。
僕はその例のコレを読んでみる。
「……流行りものではないんじゃないかな?
どちらかといえば、寝取り浮気の原罪と同じ感じ?」
「明らかに違うわよ!
寝取り浮気の原罪はタイトルがそうなっているだけで、とことんまで純愛だもの。主人公とヒロインは一切、他に脇目なんて振らないわ」
「いや、それにそもそも、流行りのNTRものって寝取られる側の話だし……」
「えっ!? あー、そりゃあ寝取るのは人としてどうなのと思うけど、流行りって寝取られる側ばかりなの?」
紗奈はまずそこを理解していなかったらしい。
「そうだね」
いや、NTR嫌いの人はそんなものかもしれない。
「なんで?」
紗奈が首を傾げて尋ねる。
紗奈は恋愛物は好きだが、徹底的にまで純愛ものしか読まないからね。
僕も好きではないというか大嫌いだけど、どういう話かは知っている。
「寝取られて、寝取ったやつと裏切った相手に復讐するのが多いかな。
裏切ったから復讐していいんだ、という気持ちを全開にしてザマァする快楽を得るため……かなぁ。
これ、随分前に検証しなかった?」
「ふっ……、過去のことは忘れたわ。
えっ、でも、裏切ったから復讐してザマァ〜とかで気持ち良くなるの?」
「うん、人によるけどそうなんじゃないかな?
人気だし」
これはタイプにもよるだろうけど、僕と紗奈は同じタイプでそれでザマァとか言って嗤うのは好きにはなれないかなぁ。
「あー、うん、理解するのはやめとく」
「それでコレはどういう検証?」
僕はカクヨムで紗奈がきっと勢いだけで書いた眼鏡幼馴染との吐息が交ざる話について聞いてみた。
「あー、うん。私、純愛日常系の普及を望んでいるけど、全然見当たらないから逆にこうー、背徳的で官能的な雰囲気?みたいな日常系ならどうかなと試してみたくなったの。
あ、でも、行為に発展したらバッドエンド一択しか浮かばないから、絶対に手を出さない感じで」
「あー……、それはまた挑戦的な……」
「うん。でも、そういう実験的な話だからこのまま反応なかったら、1万字超えたら書くのをやめるし、いずれはお蔵入りかなぁ。
やっぱり寝取りとか、ピね!とか思っちゃうし」
「うんうん、なんとか直接表現を避けたね、偉い偉い」
そう言って紗奈の頭を撫でる。
子供扱いされて、むーと紗奈は頬を膨らませるが、可愛かったのでそのまま唇を奪う。
んで、舌も絡ませる。
もきゅもきゅ。
なるほど、紗奈なりに自分が本当にその手の流行りものが書けないのか、挑戦しようとしたわけだ。
根本から流行りものとは別物だったことは置いておいて。
「ま、いいわ!
とりあえずコレはコレで、それはそれよ!」
なにがいいのか分からないが、紗奈的には満足したらしく、甘えるように僕にしがみつく。
そうして僕らはまた口を重ねた。
もきゅもきゅ。
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