2024年3月27日「終わりは突然に、されど必然にやってくるのよ」
「終わりは突然に、されど必然にやってくるのよ」
紗奈はベッドの上で姫奈をあやしつつ、唐突にそう言った。
なお、これといったイベントごとがあったわけではない。
せいぜい大学1年目が終わるぐらい。
「それはなんの終わりのこと?」
「もちろん、もきゅもきゅ幼馴染よ」
僕は天井を見上げて、その言葉を頭の中で反芻する。
そして紗奈に向き合い言った。
「もきゅもきゅ幼馴染って完結してなかった?」
燦然と輝く完結マークがついているような……、それでも思い出したように時々、紗奈が暴走して書いていたけど……。
「そうか、やっと終わるのか」
僕らの晒し日記という黒歴史が。
……と感動に浸りたいところなのだが。
「そう言って何度も続けてなかった?」
疑問系で問うまでもなく、終わらずにまた更新して今に至る。
「気のせいよ!」
その気のせいはすでに何回目だろうか。
もはや最終回詐欺が常連過ぎてどうしようもない。
「それがね? ここ1ヶ月以上忙しいのと魂エネルギーが欠乏してたのもあって、もきゅもきゅ幼馴染も書けなくなっててふと思ったのよ。
ああ、こうやってエタっていくんだろうなぁって。
それだとこう〜もきゅもきゅ幼馴染もなんだか途切れた物語になるみたいで、嫌でしょ?」
「もきゅもきゅ幼馴染は完結しているから気にしなくて良いのでは?」
終わっているものを終わらそうとするのはこれ如何に?
紗奈は僕の真っ当なツッコミをさらりと流し、片手の拳を高くあげる。
もう片方の腕には姫奈を抱いているが、姫奈がいなければ両拳を突き上げていたに違いない。
「そこにきて、なんとあのもきゅもきゅ幼馴染が40万PVを超える快挙!」
「黒歴史の40万PVって快挙ではないような……」
「むむむ」
僕の呟きに紗奈は唸って、すぴすぴと眠った姫奈を優しくベビーベットに移動させる。
それから椅子に座る僕に覆い被さるようにして上から。
「そんなことを言う口はこうよ」
口を重ねた。
もきゅもきゅもきゅもきゅ……。
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