アフター16「あらしのーカクヨムコンがぁ〜、始まったのよー🎵」

「あらしのーカクヨムコンがぁ〜、始まったのよー🎵」


そう歌いながらベッドに転がる紗奈の頭を優しく撫でる。


「始まったみたいだね?」

「わかってたつもりだったけど忘れてたわ。

カクヨムコンが嵐だって。

もう4回目なのに」


「そうかそうか、仕方がない。

人は忘れる生き物さ」


そう言いつつ、優しく紗奈の頭を撫でる。

先程のこと?

なんのことかな?


紗奈は今もスマホをポチポチと押してなにか書いている……って。


「紗奈?

まさかさっきのやり取り書いてない?」

「ギクッツ!

颯太、細かいことは気にしてはダメよ?」


ギクッツとかあからさまにわざとらしい。

今更なので、ため息一つで諦める。


「それで嵐のカクヨムコンがどうしたの?」


「聞いてよ、颯太。

色々と忘れて10万字相当を2作書いたのよ。

これをカクヨムコンの間にちゃっちゃと更新して、次の長編でも書こうかなぁ〜と思ったのよ」


「ふむふむ」


「それで嵐がキツすぎたのよ。

PVがカクヨムコン開始前の二分の一。

あ、これはカクヨムコンに巻き込まれて爆死するやつだと気づいて、更新をストップさせたの」


なるほど。

紗奈の書く話は基本、我が道を行くスロースターターだ。

そんなわけで突発的な瞬発力のいるランキングやカクヨムコンとは相性が悪い。


特に今年のカクヨムコンは例年以上に嵐がキツイ……というか。


去年までそれなりに忙しかったのであまり見る暇がなかったが、もきゅもきゅ幼馴染の日記でも毎年カクヨムコンでは活動が減っていると書いている。


「だから今回、カクヨムコンどうしようかなぁって。

いっそ、この期間はな◯うで投稿して別のコンテストに出すのもいいかなって。

占いでも大殺界の時期って動かないことが1番いいことだし」


「まあ〜、無理をしても良いことはないからね」


「でもカクヨムコンのお祭りには参加したいのよ。

祭りは参加してこそ面白いから。

だからとりあえずちょっと休んで考えるわ。

2週間は動かない方がいいわね」


「……そのわりには何個か更新してるよね。

完結してる詐欺師とか」


「……更新しないと、それはそれでストレス溜まるのよ」


「そうか……」


そこまで話して紗奈が僕にしなだれかかる。

「颯太」


指で口元を差して舌をちろっと出すので、迷いなく僕はその舌に自分の舌を重ねた。


もきゅもきゅ。

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