まだオーバータイム「どこかで見たような作品ならいらないわ」

「どこかで見たような作品ならいらないわ」


ベッドの上であぐらをかきながら、カクヨムを見ていた紗奈が両手を突然挙げて唐突にそう言った。

ちなみに僕はその隣で同じくカクヨムを見ていた


「紗奈。

最終回は?」

「颯太!

それは言ってはいけないお約束よ!」


「最近、そういう言い回しも聞かないよね?」

「ご家庭でお約束することが減ったのかしら?」

紗奈は可愛く小首を傾げる。


僕は紗奈に顔を寄せるように手でちょいちょいと。

「とりあえず言ってはいけないお約束だから、口封じ」

「口封じされる側の颯太が言ってはいけないわ!

……どっちにしてもするけど」


そう言いながらも僕らは口を重ねる。

もきゅもきゅ。

んで、そのまま……。


……。


…………。


「……そんなわけで他にはない作品を書こうと改めて思ったわけよ」

僕の隣でコロンと転がった紗奈が、先程の話を再開した。


「終わってなかったんだ、その話」

「当たり前じゃない!

そんなことをいう口はこうよ!」


そう言ってやっぱり口を重ねる。

もきゅもきゅ。


繰り返しである。

しかも歯止めが効かなくなった。

新婚なので仕方ない。

新婚前も変わってないけど、それも仕方ない。


「他にはないけど、面白いと思えるものじゃないと意味がない!」

「そうだね」


紗奈は勇ましく僕の上にもぞもぞと上り唇を重ねる。

もにゅもにゅ。


「……とまあ、書けないうちに改めて思ったわけよ。

カクヨムで書く暇はないけど心は飢えるから、書籍化された人気作品を見るとやっぱり面白いわね

他にはない感じは特にするわ」


「単純に人気作でも他にありそうなものは紗奈が読まなかっただけだよね?」

「そうとも言うわ!

あっ、言うてはならんことだから、もう一度口封じ……する?」


最後の『する?』はわざとらしく可愛く言われたので、もはや何を言わんや、である。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

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