706日目(残り24日)「イチャイチャもきゅもきゅするような話が読みたい」
「イチャイチャもきゅもきゅするような話が読みたい」
勉強の休憩中にベッドでゴロンと転がって、カクヨムを眺めていた紗奈が唐突にそう言った。
僕はふむ、とひとつ頷き、紗奈の隣に座る。
「颯太?」
うんうん、と僕は頷く。
頷いて紗奈の口を口で塞ぐ。
「ムングッ!?」
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
そんでもってそのまま優しく押し倒した。
……しばし。
「……あれ? 私、結局何で颯太狼に食べられたの?」
落ち着いてから、紗奈と一緒にベッドの上でカクヨムを読みながらゴロンゴロンと転がっていると、ふと紗奈がそう言った。
だから僕はしれっと答える。
「読みたいって言ってる時って、紗奈がイチャイチャしたい時だから、隙ありって思ったから」
狼の前で紗奈ウサギが食べて〜と言っているようにしか聞こえなかったよ。
紗奈は僕の枕に顔を押し付けて、耳を赤くしている。
「そ、そうかもしれない……」
紗奈はゴロゴロと転がり、僕にしがみ付いて段々登ってきて唇を重ねてくる。
数度お互いからキスを繰り返す。
もう最近はスイッチを押すのも躊躇しなくなってきた。
もうじき正式に結婚するからお互いにタガが外れかけているのだ。
感情が爆発して、お互いを熱く求めてしまったことも一度や二度ではない。
そう遠くないうちに僕らには子供が出来るだろう。
だけど……。
「……気を、付けないと、ね。
颯太との子供早く欲しいけど、私たちはまだ働いているわけじゃないから」
「……そうだね」
それでも愛しているの気持ちのままで、僕らの子供が出来るなら覚悟もしている。
それを分かっていて、紗奈も目を細め微笑む。
「……それでも日本は若い夫婦が子供を育てるには厳しいからね」
そうなのだ。
別に日本が全く保障がないとは言わない。
それでも社会環境的に子育てに向いているとは言いがたい。
僕らのように親が理解がある場合は良い。
それはとても少数だし、多くは冷たい目や少ない稼ぎでやりくりしながら、なんとかしていくしかない。
……それが日本社会の現実だ。
僕は紗奈をギュッと抱き締める。
「……それでも僕は紗奈と子供を守るよ。
1人では守れないから、紗奈も自分をちゃんと守るんだよ?」
紗奈は頷き、僕を抱き締め返す。
そうなのだ。
守られるばかりの関係は長くは続かない。
夫婦も彼氏彼女も。
守り守られて、そうやって一緒に生きていくのだ。
僕らは再度、口を重ねる。
いつものように。
互いを想いながら。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
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