643日目(残り87日)「ねえ……、フォローとPVが増え出しているんだけど」
「ねえ……、フォローとPVが増え出しているんだけど」
先程まで足をバタバタさせながら、僕らのベッドの上で鼻歌交じりにスマホでカクヨムを見ていた紗奈が唐突にそう言った。
「何の?」
「これの」
そう言って紗奈はスマホの画面を見せてくるが、机の位置からでは流石に見えない。
なので、机の上を片付けて紗奈の隣に。
隣に座ると同時に紗奈はこちらに顔を向けて、僕はその顔に顔を近づけ……口を重ねた。
もきゅもきゅ。
口を離し、離れぎわにもう一度、軽く唇を重ねてから紗奈のスマホを見る。
「これ……だね」
「これなのよ」
イチャイチャ幼馴染の画面である。
PVは珍しく500を超えている。
「あ、600超えたわ……」
「大丈夫、これ?」
そもそも紗奈は最新話のPVが100を切り出したから、もういいかなともきゅもきゅを晒し出した。
それなのに、見てくれる人が増えると見られてはいけないもきゅもきゅをより多くの人に見せてしまうことになるのだ!
大ピンチである!
「どどど、どうしよう!?
ももも、もきゅもきゅをさらけ過ぎたのに!?」
僕は動揺する紗奈の頭を撫でて動揺を鎮める。
自分より慌てている人を見ると人は落ち着くものである。
まあ、だからといって問題が解決するわけでもないけど。
「まあ、良いんじゃない?
今更だし。
それに全体で350話ぐらいあるわけだから、たまたまだよ。
2人の人が通して読んでくれたんだよ、きっと」
僕はフォローが増えたことには目を逸らしておいた。
紗奈はほふーと息を吐き、僕にしなだれかかる。
僕はこれ幸いと紗奈を抱き締めて、その感触を味わう。
「それもそうねぇ〜、たまたまね〜。
颯太ぁー、安心したらもきゅもきゅ不足になったわ。
もきゅもきゅ頂戴」
お腹減ったみたいな言い方だ。
もきゅもきゅは紗奈の主食なのだろうか?
……その場合、僕の主食なのも間違いない。
僕らは味わうように口を重ね舌を絡める。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
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