1年と186日目「心に迷いがあると書けないのよ」

「心に迷いがあると書けないのよ」


紗奈が僕らのベッドの上に座り、手を白鳥のように伸ばして変なポーズを取りながらそう言った。


僕は机の上を片付けながら。

「そうなんだ」


紗奈のいつもながらの奇行なので、特に気にせず紗奈の隣に座る。

「あ、ちょっと口内炎が出来てるからもきゅもきゅはダメよ?」


そう言って間髪入れずに唇にキスをくれた。


「あー、そうなんだ。

大丈夫?

ビタミン不足?」

口内炎は地味に痛いよね。


「どうかなぁ?

体調が良くないと出て来るから仕方ない。

それより!

心に迷いがあると書けないのよ、小説は!」


「そうなんだ」

「そうなのよ!」


チュッとどちらともなく口付けを交わす。

これはこれでイチャイチャ感があるなぁ。


「公爵様の話だけ休むつもりが、イチャイチャ幼馴染も更新しなかったので、書かない時間が長くなると、書くのに躊躇いが出て来るのよ。

果たしてこの文章で良いのだろうかって。

イチャイチャ幼馴染は考えてないから、書けば書けるけど」


うんうん、僕らの日常そのままだからね。


そうして唇に触れるぐらいのキスをする。

でも会話の間、目を見て会話しているから、目が合うたびに僕らは唇を重ねてしまう。


「GSこえけんもエントリーしようと思って。

この私たちの日常を別枠で書こうと思ってアイデアは頭にあるんだけど、なんだか迷ってしまう訳よ」


またチュッと唇を重ね、もきゅもきゅを我慢しつつ、少し長めに唇を重ねる。


1、2、3……10。


「そうそう、それで何というか前に、なんとなく言ってた魂エネルギーって意外と的を得た言葉だったなぁと思った訳よ」


「うん、僕も大概だけど、会話しながらひっきりなしにキスをしてしまう僕らは、ちょっとこう考えた方が良いかもしれないね」


「いやよ」

そう言って、紗奈は僕の唇を奪い押し倒し、上から何度も口付けをして来る。


「ちょ、紗奈、スイッチ!スイッチ入る!」

「入れてんのよ」


そう言って紗奈は僕の唇に、自分の唇を重ねて。

もにゅもにゅ。

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