1年と171日目「流石に今日は書く気がしないわね」
「流石に今日は書く気がしないわね」
僕らのベッドでコロンコロンと転がっていた紗奈はスマホ片手に唐突にそう言った。
僕は机の上を片付けながら尋ねる。
「そりゃまたどうして?」
「カクヨムコンの結果が出たのよ」
「あー」
紗奈の隣に座り頭を撫でる。
「受賞した人は事前に連絡が来るらしいから落ちたのは分かってたけど、結果は結果でそれなりにヘコむわね」
「残念だったね」
紗奈はコロンと僕の腰にしがみ付き。
「今回で2回目だけど、今回も参加しなきゃ良かったかなと思ったわ」
「そりゃまたどうして?」
参加するのは自由である。
お金も掛からない。
「うーん、ほんと感情的なものでしかないけど、死力を尽くして書いた作品が否定された気がするのよね。
そうではないと分かってるけど……あれ?
これ1年前にも同じこと言った?」
僕と紗奈はスマホでイチャイチャ幼馴染の1年前を確認しようと……。
「あ、ちょっと待って」
紗奈は僕の手を止めさせ、覆いかぶさるように口を重ねて来た。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
口を離す。
「ぷぅ〜、さあ、探しましょ!」
紗奈は満足そうに口元を拭いてスマホに視線を落とす。
カチカチぽちぽち……
「……言ってたわね」
「言ってるね、193日目に」
紗奈はフッと斜め上を見てニヒルに笑う。
「歴史は繰り返す、ね……」
そういう意味だっけ?
「それより僕は次の日のイチャイチャ幼馴染の暴走の方が気になるかな?」
「歴史は繰り返すのよー!!」
紗奈はまた飛び掛かるように僕にのしかかる。
「さあ!颯太!舌出しカモーン!!」
「なんでテンション高いんだよ!
それにそれって次の日のはな…んっぐ」
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
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