1年と164日目「つまりモヤモヤがモヤモヤな訳よ」
もきゅもきゅ……。
「つまりモヤモヤがモヤモヤな訳よ」
ベッドに2人腰掛けて、口を離すと紗奈は唐突にそう言った。
「どういうこと?」
モヤモヤしていることは分かった。
何がどんなモヤモヤなのか。
「むー、公爵様のお話が振るわないの。
最盛期から見たら1/5ぐらいしかないのよ」
一万なら2000で、1000なら200。
「それは大分下がったね。
桁が多いと良くわかんないけど」
自分でやってみないととその辺りは多いのか少ないのかイマイチ実感が湧かない。
トータル30万が多いのは分かる。
紗奈はグデーンと僕にしなだれかかる。
「そこまで下がっちゃうと、どうにもやる気が〜。
イチャイチャ幼馴染とか完全なギャグは勝手に頭から出てくるけど〜」
もぞもぞと僕のお腹に顔を突っ込む。
「そうなんだ?」
頭を撫でておく。
「惰性で終わらせるのもどうかと思うし、公爵様の話は2ヶ月ほど休止した方が良いかもなぁと思ってる。
気力が回復するまで。
単純に私が疲れてるだけかもしれないから、ゆっくり休んでから決めるけど」
その辺りはよく分からない。
閃きがキュピーんと来ないらしい。
ガバッと紗奈が顔を上げる。
「そうだ!
颯太、私気付いた!」
「何を?」
「私、パンツァーだった!」
「パンツァー? 戦車の突撃?」
「パンツァーフォー!
違うわ!
プロットを作らず作品を作る人よ!」
ほー。
「そうなんだ?
……あれ? そうだっけ?
作品書く時、設定色々考えてなかった?」
「そうだと思ってたけど、違ったみたい」
「そう言えば憑依型とか言ってたけど、キャラクターが乗り移って作品を書いているなら、設定はあんまり関係ないよね?」
「……ふっ、そういうことよ。
でも秘密だから颯太の口を塞ぐね?」
そう言って紗奈は可愛く首を傾げた。
秘密だったらしい。
なんで?
とにかく大した理由はなくとも僕らはまた口を重ねた。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
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