1年と17日目「1年経ったのね……」
「1年経ったのね……」
メリークリスマス。
クリスマスは昨日だけど。
僕は現在、ベッドの上で紗奈にしがみ付かれています、身動きが取れません。
「……経ったね。
1年前は紗奈は風邪で寝込んでいたね。
コ◯◯じゃなくて良かったよ」
「危うい時期だったものね。
例の◯ロ◯の名前をイチャイチャ幼馴染で出すことすら躊躇ったものよ」
「色々とセンシティブな問題だから気をつけた方が良いね」
昨日はプレゼントは交換し合ったけど、イルミネーションを見に行くなどは自粛している。
紗奈の首元に僕がプレゼントしたハートのネックレスが見えている。
「はぁ〜、幸せねぇー。
こうやって1日中颯太エネルギーを吸収出来る1日はサイコーね!
流石、聖夜だわ」
「聖夜は昨日だけどね。
それにいつもな気がするけど、気のせい?」
「気のせいよ。
……嫌?」
「嫌じゃない、嬉しい」
嫌なことがあろうはずもない。
「んっ」
口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
ひとしきりイチャイチャした後、紗奈はスマホでカクヨムを見て唐突に。
「面白そうな悪役転生物を見かけて読もうと思ったの。
あ、公爵の話じゃないわよ?」
「そりゃそうだ。それで?」
「……他のテンプレと同じようにツッコミを入れたくなったわ」
紗奈は僕の枕に顔を埋める。
「颯太……、私は大好きだった悪役転生物も読めない身体にされてしまったわ。
颯太がすっかり私を颯太色に染めたせいね」
「酷い冤罪だ。
テンプレが受け付けないのは、僕のせいではない」
紗奈を僕色に染めたのは、まあ……。
「これが作品を書く上での呪いみたいなものね。
書くとその世界観がよく分かるから、他の同じような(?)世界への転生を見ると、アレ?公爵の息子なのに護衛とか付いてないの?とか、一般の人が見知らぬ子供に、それも見るからにお貴族様の子供に根回しもせずにホイホイ情報渡す?とか、お貴族の子供に冒険者ギルドが来て受付もそれを当たり前みたいな顔してるけど、異常なことだよね?とか。
バックグラウンドがイメージ出来ちゃうと違和感が凄いのよ。
考えちゃダメ、考えちゃダメ、心のままに受け入れるのがテンプレの読み方よ、ツッコミを入れちゃダメ……」
「うん、確かに紗奈にはテンプレ向かないね」
「前はそうではなかったのよー!
書く前はまあ、それもアリかな?で流せたのにー!
テンプレを読む人は心が広いわー!!」
「まあ、うん、読み方は自由だから」
「それもそうね。
そんな訳でもきゅもきゅ〜」
「はいはい」
促されるままに口を重ねる。
「アッグ」
舌を絡める。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
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