1年と16日目「ついに公爵の話が5000フォロー超えたわ」
「ついに公爵の話が5000フォロー超えたわ」
僕らのベッドの上で正座して、枕の上にスマホを置いて紗奈は唐突にそう言った。
僕は椅子をくるりと回転して拍手。
「凄いじゃないか」
紗奈は深く頷く。
「凄いのよ。
そりゃあ、星4000とか5000とか天外クラスから見るとかは別にして、フォロー5000と言えばフォローしていない人も合わせれば1万に近い人数が例の公爵のお話を読んだとも言えるわ。
つまり!!
総人数1000人の高校が10校!
その全校生徒が読んだほどの数ってことよ!」
僕はまたも拍手。
「凄いじゃないか」
「凄いのよ」
ふんすと紗奈は胸を張る。
僕も紗奈の隣に座る。
そして2人してスマホに頭を下げる。
「応援いつもありがとうございます」
「ありがとうございました」
僕と紗奈は応援してくれているスマホの向こうの皆にお礼を言う。
「さてお礼は済んだし……」
そう言って、ガシッと僕の腰に紗奈はしがみ付く。
「やっぱり私は疲れていたのよ!」
「そうなんだ」
僕のお腹にぐりぐりと顔を押し付ける紗奈の頭を優しく撫でる。
「しばらく休憩したらランキングから目が離れて、また落ち着いて書いていこうと思ったわ」
「それは良かった」
頭を撫でながら僕がそう言うと、紗奈は顔を上げ一言。
「ご褒美!」
ご褒美をせがむお姫様の口に口を重ねる。
もきゅもきゅ。
「……美味しいわ」
口の周りを僕の服で拭い、もう一度せがむように顔を僕の方に向け舌を出す。
それに重ねながら絡ませる。
もっきゅもっきゅ。
口を離すと紗奈は満足そうにふーと息を吐く。
「そんな訳で疲れを癒した私は新たな作品が浮かんだの。
その名も『浮気寝取りの原罪』よ!」
「待てぃ!
ここからさらに別作品書いてる余裕あるの!?」
「ふっふっふ、よく分かったわね颯太。
その通り、無いわ!
もし新作を書くと公爵の更新は止まるわ!
……あ、もきゅもきゅは止めないし止まらないわよ?」
そりゃそうだ、日常的に僕らがもきゅもきゅしているのを晒しているだけなんだから。
「第一、浮気に寝取りって紗奈の1番嫌いなヤツじゃないか」
「そうよ。
まあ中身は大半純愛なんだけどね。
あらすじで言うと主人公の男が突然、幼馴染カップルの片割れの女性に愛を告白されて、なんでやねんとなって、そこからどうして彼女は主人公を愛してしまったのか、とか過去に行ってしまった浮気寝取りの罪は、破滅以外で許されないものなのかをラブコメちっくに描いていくの。
あ、主人公は別に寝取りクズ野郎じゃないわ、そこはお互い筋を通しているわよ?
あ、こそれとの場合の幼馴染カップルって、『好き同士レベル』だから私たちのように愛し合っている訳ではないから注意ね?
愛し合うのはどちらかと言えば主人公側の方になるから」
「……結構ガッツリとあらすじ考えたんだね?」
「……頭の中に湧き出てくるように浮かんでしまったの。
書きたいけれど書くと公爵の話が書けなくなるから一旦保留ね」
僕は紗奈の頭を撫でる。
「颯太〜、もきゅもきゅ〜」
「はいはい」
紗奈と口を重ねる。
もきゅもきゅ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます