334日目「グハッ_:(´ཀ`」 ∠):PVが極端に下がったわ」
「グハッ_:(´ཀ`」 ∠):PVが極端に下がったわ」
2人でベッドの上でゴロゴロしながら、スマホでネット小説を読んでいると紗奈が唐突にそう言った。
「そんなに下がった?」
「まだ数日だけど、ほぼ間違いないわ。
くやしーというか、やるせないというか、仕方ないんだけどー」
紗奈はゴロゴローと僕の上にも乗っかりながら、ベッドの上を行ったり来たりする。
「そう言うなら何が原因か分かってるってこと?」
紗奈はベッドの端でぴたっと止まり、こちらを向いて頷いた。
「ランキングが落ちたからよ」
「ランキング?」
「そう、ランキング。
分かっていたはずだけど、ここまではっきりと分かるとうーん……」
ぐったりする紗奈の頭を撫でながら僕は告げる。
「でも仕方ないよね?
もうじき試験だし」
「ぐふっつ_:(´ཀ`」 ∠):人生は仕方ないことの連続ね……、あと全面改稿をすることになったのが痛いわ」
「あー」
紗奈に限らず当然僕もだけど……。
「小説にルールがあったんだね。
それも学校で習う書き方とは違うなんて、詐欺よ!」
詐欺ではない。
「まー、カクヨム上で好きに書くならともかく世に出したいと望む可能性があるなら、そのルールを無視するのは良くない、かな」
結局、どうするかは自分次第である。
そこでガバリと紗奈が半身を起こす。
「そこで思ったのよ! 私、テンプレを書こうって!」
その言葉に僕は。
「はぁ〜? 紗奈ってテンプレ書けたっけ?
前に試して失敗してたよね?」
「ふっふっふ、アレはテンプレの真実に気付いてなかったからよ。
今度は失敗しないわ、いいえ、加減しないわ!」
そこで僕はポツリと告げる。
「時間、あるの?」
ばたりと紗奈は力尽きる。
「公爵の話を書くのを止めれば……」
「それは事実上、無いと言ってるよね?」
「それで思ったわけよ、ああ、こういう風にして長編の作品書くの止める人も多いんだろうねって。
同時並行で書くのは難しいし、新しいのを書いてぶれ出すのも問題だし、止めてしまった長編を再び沢山の人に見てもらうようになるのも難しい、悪循環って奴よ」
紗奈が何を考えているのか、僕には良く分かった。
これはおそらく僕が紗奈の幼馴染であり義兄妹であり結婚直前の恋人であり、つまりずっと一緒に居て沢山話をしたから分かること。
「紗奈……」
「なぁにぃ、ふうたぁ〜?」
「……勉強疲れたんだね」
「……うん」
それに尽きる。
そこでまた紗奈は唐突に、ガバリと身体を起こし僕に詰め寄る。
「何が欲しい?」
「へ?」
「明日、11月7日。
颯太生誕祭よ。
何が欲しい?」
ふんすと鼻息荒く紗奈は僕を除き込むようにを見る。
唇がくっ付きそうなほど近くで見る紗奈は、あいも変わらず僕にとって1番の可愛いさだった。
そりゃあ、僕の欲しいものって紗奈だけど……。
「よし! じゃあそれをあげちゃおう!」
「へ!?」
何を考えているか心を読まれた!?
紗奈はふふ〜んと。
「颯太の欲しい物をなんでも買ってあげようということよ!
あ、でも、あんまり高い物だと何年も掛かるけど」
読み取ってはいないらしい。
高級な物でも買ってくれようとしたらしい。
唇が付きそうなほど顔が近いので、そのまま口を奪う。
もきゅもきゅ。
口を重ねると紗奈は文句も言わず受け入れてくれる。
「……僕が欲しいのは紗奈だよ?」
紗奈は小首を傾げる。
「あげてるけど?
もう颯太のものだよ?」
口元を押さえて顔が赤くなってしまう。
素直に嬉しい。
言ったことに恥ずかしくなったのか、紗奈も顔を赤くする。
「……明日。
一日中、紗奈とイチャイチャしたい」
紗奈はさらに顔を赤くして。
当然、僕の顔はもっと真っ赤だ。
顔が熱いのがはっきりと分かる。
脳みそが茹ってしまいそうだ。
「……颯太からそれをはっきりと言うのって、珍しいよね?」
……まあ、誕生日だし。
紗奈はくすりと笑い、小さくポツリと。
「……良いよ?」
唇を重ねながら、紗奈をベットに倒させる。
「……子供だけ出来ないように気を付けて?
それは何年後かの誕生日に貰うから」
「……気を付ける」
僕が言える、それが精一杯だった。
紗奈がまたくすりと笑い、僕も微笑む。
「んっ」
紗奈が口を開け、ピンクの舌を見せて僕を誘う。
こうして僕と紗奈はいつものように口を重ねた。
もきゅもきゅもきゅもきゅ……。
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