209日目「ふとした瞬間もきゅもきゅしたくなるのよねぇ。」
「ふとした瞬間もきゅもきゅしたくなるのよねぇ。」
着替えも済んでカバンを取りに部屋まで戻り、部屋を出ると紗奈もカバンを手に部屋から出て来たところ。
よいしょっとカバンを足元に置いて、抱き締め合いもきゅもきゅしてしまった後に、紗奈はそう言った。
朝だからそれほど時間はない。
口を離し、紗奈はカバンを手に取る。
そのカバンをそっと掴み、もう一度、紗奈を抱き締める。
「あれ?」
軽く唇にキス。
そのまま舌を重ねる。
もきゅもきゅ。
口を離す。
「おかしい、おかしい、颯太、何かがおかしいわ。」
「何が?」
「朝から行ってきますのもきゅもきゅするなんて、ラブラブ新婚夫婦みたいじゃないの!」
「今更?」
「、、、今更よね。」
「それに僕からしなかったら、紗奈がするでしょ?」
「朝はキスだけで良いのよ。
朝からもきゅもきゅすると色々危ないじゃない。」
何が!?
「もきゅもきゅって危険だっけ?
僕らからするとキスの方が危険じゃなかった?」
「、、、どっちも危険ね。」
カバンを取り、階段を降りる。
降りる途中でふと目があったので唇を重ねる。
紗奈が階段から転げないように優しく支えながら。
「朝からこんなで大丈夫かしら?」
、、、大丈夫ではないけど、衝動は抑えられなかった。
行ってきま〜すと言いながら、2人で玄関から出て歩く。
「な〜んか不思議。
ほんの1年前は一緒に登校しなかったし、颯太もなんだか距離があったのに、見てこれ、仲の良い憧れの幼馴染の登校風景よ!?」
そう言って、紗奈は両手を広げる。
「そうだね、幼馴染といえど高校でも一緒に通学するってハードルは低くないよね。
時間帯が一緒になれば話もするけど、幼馴染は彼氏彼女でもないから待ち合わせとかしないからね。」
相手の通学の時間は知ってても気恥ずかしくて、少しだけ時間をずらしてしまったりしてもいた。
「、、、ちょっと避けられてるのかなぁと思ったりもしたわよ?」
え?と思い、僕は首を横に振る。
「恥ずかしかっただけで、僕は紗奈をずっと好きだったからね?」
「うん、、、。今なら分かるけど、あの頃はまだ気持ちが分からなかったから辛かったわ。
このままよくある幼馴染の関係のように離れていったらどうしようって。」
あー、そうなってたら、どうなんだろう、、、?
うん、想像つく。
「僕はずっと引きづっただろうね。」
また別の恋はしたとしても、紗奈が別の人と恋愛して完全に失恋するまではずっと引きづって居たんだろうな。
「私は壊れるわね。」
壊れるの、良くない。
「、、、じゃあ、今が一番だね。」
「そうね、1番よ。」
うふふと紗奈は笑う。
それからすすっと、僕の耳元に口を寄せ。
「颯太。ごめん、もきゅもきゅしたい。」
「、、、家、帰るまで我慢して。」
「、、、我慢する。」
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