206日目「ぶっちゃけるとこの2人が別れる可能性は50%ね。」
「ぶっちゃけると、この2人が別れない可能性は50%ね。」
紗奈は部屋に入ってくるなり、僕をベッドに引っ張り込んで、スマホを見せながらそう言った。
今はベッドの上で、紗奈は僕の膝枕で寝転んでいる。
「なんのこと?」
そう言いながら、見せられたスマホのネット小説、、、紗奈が書いた男の娘(偽)とのラブコメの話を読む。
「想いを伝え合って終わってるね?」
紗奈はスマホを一緒に見ながら頷く。
「そうね。」
僕は首を傾げる。
「良くあるラブコメの終わりに近いけど?
しかも幼馴染同士だよね?」
「そうね、言い直すわ。幼馴染ポイントが追加されるからさらに20%アップで70%は別れないわ。」
「どういう統計?」
僕はまた首を傾げる。
「書いてると特に思うのよ。
ハーレム的な話って、『この人』じゃなくても良いのよ。」
この人じゃなくても、、、。
「あー、そういうこと?
たまたま想いを伝え合ったのがこの人なだけで、他の人を好きになってたら『また』他の人と付き合うってそういうこと?」
紗奈は疲れたような顔で、下から僕の頬に触れる。
「、、、テンプレに『近い』ラブコメを書いてみると、さらによく分かるわ。
多くのラブコメの結果は半数がいつか別れを選ぶ。
そんな関係性よ。」
そうとは限らない、、、とは言えない。
何故なら高校年代の多くのカップルが結婚まで至る可能性は、、、とても低い。
僕らが恋人になってから散々話し合った内容だ。
特に紗奈はその世界の住人の息吹を感じながら小説を書いたのだ。
その心は誰よりも深く分かることだろう。
小説とはそのようなものだから。
「物語としてそれを防ぐには、さらに心を近づけなければならないわ。
好き『だけ』で終わる物語に未来は感じないわ、、、。」
そうではないかもしれないけれど、その可能性はある。
紗奈は感情移入し過ぎたらしい。
涙を流している。
「颯太〜。」
「何?紗奈。」
「好き。好きなの。
、、、離れたくないなぁ。」
僕は紗奈の口に口を重ねる。
深く。
もっきゅもっきゅ、、、。
つぃっと、糸が引く。
その紗奈の口元を指で優しく拭く。
「離れないよ、ずっと。」
僕がそう言うと、紗奈は嬉しそうに小さく微笑む。
「きっとね、きっと、ラブコメの主人公たちもこうやって想いを確認していかないといけないと思うの。
そうやって、ちょっとずつちょっとずつ、人はその人との繋がりを作っていく。
、、、もしも、別れを選んでしまったカップルが居たら、それをマイナスからちょっとずつちょっとずつ。
好きとか、そんな『簡単な』気持ちじゃなくて。
愛してるへ変えていかないといけないと思うの。」
ラブコメが終わった後、主人公たちがそれに向かっていってほしい、そう願いを込める。
「そうだね、紗奈。愛してるよ。」
「私も颯太。愛してる。」
そうして僕らはまた口を重ねる。
もきゅもきゅと、、、。
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