162日目「話を考えてる時が一番面白いわ。」

「話を考えてる時が一番面白いわ。」


僕のベッドの上でスマホを持ちながら、コロンコロン転がっていた紗奈が唐突にそう言った。


僕は机の上を片付けながら尋ねる。

「何か新しい物語でも考えてるのかい?」


コロンコロン転がっていた紗奈は半身を起こし、自分の隣をパシパシと叩きながら。

「そうなのよ!

もうじき長編が書き終わるから、何か新しいの考えたいなぁと思って考えてたら楽しくなっちゃって!」

僕は紗奈の隣に座り、頭を撫でながらそのまま口を重ねる。

もきゅもきゅ。


「颯太、手慣れてるわ、、、。

いつの間にかもきゅもきゅさせられてたわ、、、。」

「そう?それで話は出来た?」

誤魔化しがてら紗奈の頭を撫でておいた。


「うん。前から書きたいなぁと思ってたんだけど嫌われ者への転生者の話。

大好きなジャンルなんだけど、似たような話がいっぱいあるから似てくるのよね。」

「成る程、でも同じ話にはならないんじゃない?」

「そうね。人それぞれ腕も違うし、考え方もまるで違うわね。

私が書くとすっごくシリアスか、コメディ要素が強くなるかどちらかね。

やっぱり自分が一番読みたい話を書くから、考えてるだけでも楽しいのはそういう理由ね。」


嬉しそうにしている紗奈を見ると嬉しくなる。

僕は自然と笑みを浮かべ、そのまま紗奈の口を奪う。

もきゅもきゅ。


「、、、また奪われた。

油断も隙もないわね!」

「そうだね、可愛かったから仕方ない。」

「とにかく!そうやって考えてみたの!そうだ!ロボットファンタジーを書こうって!」

「ロボットファンタジー?SFじゃなくて?」

「SFは緻密な計算と重厚なストーリーが付き物よ、、、。あれは一種の天才の為せる技よ。

プロになったとしても大半の人は書けないと思うわ。

私の偏見だけど。」

「偏見なんだ。」

紗奈は深く頷く。


「ファンタジーでもロボットなら同じじゃないか?」

「そこはほら、何か考えるわ。」

「そうか。まあ、紗奈が楽しそうならいいや。」

嬉しそうに紗奈は笑う。

ジーっと見てると紗奈もジーっと見返してきた。


ふと、こうしてお互いを見つめ合うのは珍しく感じた。

そんなことを思いながら、僕らは口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。

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