157日目「ついに幼馴染が寝取られたわ。」

「ついに幼馴染が寝取られたわ。」


僕のベッドの上で2人で転がりながら、スマホでネット小説を見ていた紗奈は唐突にそう言った。


うん?

なお、今日は祝日なので朝から、、、いや、嘘だ。

昨日から一緒に転がっているので、紗奈はどこかで誰かと会ったりしていないし、同じように僕もずっと紗奈と居る。


ああ、そういえば随分前のことな気もするけど、紗奈が同じようなこと言ってたなぁ。

確かあの時寝取った相手は僕らしい。


うん、寝取りじゃないよね。

「、、、それで幼馴染が寝取られたってどういうこと?」

「これよ!」

紗奈はコロンとこちらを向き、スマホを見せてくる。

嬉しそうな顔だ。

とりあえずスマホを持つ手を顔の前から避けさせて。

「はれ?」

いつも通り口を奪う。

もきゅもきゅもきゅ。


ペロリと唇をひと舐めした後、避けてた紗奈の手を戻して、スマホを覗く。

「ああ、これね。紗奈が書いたテンプレ風ファンタジー。」

「あれ?私なんで今もきゅもきゅされたの?

それとテンプレ風じゃないわよ!テンプレよ!!」

とりあえずもう一度顔の前からスマホを避けさせて、また口を重ねる。

もきゅもきゅもきゅ。


そして紗奈ごと抱き寄せてスマホを見る。

「あ、そうか。

今日、颯太、狼颯太の日だ。」

「そうかもしれないね、逃がさないけど。」

「つ〜かまった〜、紗奈うさぎ〜。たーベーらーれーングッ。」


もきゅもきゅもきゅ、、、。


紗奈が僕の腕の中でくたっとしてる隙に、『

勇者に幼馴染を奪われた。器用貧乏な俺はスキルのおかげで底辺から最強に至る。』を読む。

いつの間にかタイトル変わってるし。


「、、、紗奈。これ寝取られ違う。」

「、、、あれ?

だって幼馴染から幼馴染が寝取られてるのよ?

テンプレ寝取られじゃない?」

「そういうパターンが無いわけじゃないけど、、、。

あと追放も出来てないし。」

「おかしいわね、、、。

テンプレって難しいのね。

書いてみて分かったわ。

よっぽど上手に、もしくは勢いで突っ切らないとツッコミを入れてしまうわ。」

「ツッコミを入れる時点でテンプレが手遅れになってるよ?」

「え!?」

「ツッコミを入れたらテンプレにならないでしょ?説明しなくても良い決まった形のことを指すんだから。」


紗奈はふむ〜と顎に手を当て考える。

「成る程、、、。

俗に言う突っ込んだら負けという奴なのね。」

「何か違う、、、。

あとタゴサーク、、、じゃなくてサークは女の子だったんだね。」

「これぞ!と言う衝撃的な時にバラしたかったんだけど、考えるのが面倒になってついバラしちゃったわ。

容姿の説明もちょっとぐらいでも、いつかはしないといけなかったし。」

「うん、それこそが衝撃的な気がするよ。」


紗奈の髪を触ると紗奈は僕に擦り寄る。

「う〜ん、テンプレーテンプレー。テンプレは難しいわね。」

そうなのかなぁ、、、。

まあいいかと紗奈の頬に手で触れる。

紗奈も僕をジッと見つめてくる。

僕はそのまま紗奈の口に自分の口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。

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