145日目「テンプレとか流行りとかって面白いのかしら?」

「テンプレとか流行りとかって面白いのかしら?」


自分の部屋から持って来たちゃぶ台に顎を乗せて、スマホでネット小説を読んでいた紗奈はポツリとそう言った。

ちゃぶ台の向かいには、たぬきのポン太君が鎮座して居られる。


その座り位置、気に入ったんだね?


「一度書いてみれば良いんじゃない?

ある程度、面白いと思うよ?」

紗奈はスマホを眺め、ふ〜むとうなる。


「でも、それって何か、なんだかなぁと思わなくもないのよ。

ほら、前にも言ったでしょ?

最強が書店に並んでて目を逸らしちゃったって。

面白いとは思うのよ?

思うけど、ちょっと飽き気味というか、、、。」


それに対して、僕はペンを置き腕組みして、ふむと頷く。

「紗奈にとって、カ◯ヨ◯で書いてて『お客さん』って誰だと思う?

ああ、この場合は対価を支払ってくれる相手という意味ね。

雇い主というには、雇用関係はないからね。」


「へ?それは読んでくれる読者じゃないかしら、、、?

対価がお金という意味なら違うけど。

そこはほら、プロじゃないから、、、。

プロの方がそうなのかなぁ〜?」


「ふむふむ。

なら、書籍化というなら?」

「それも読者じゃないの?」


「僕はそれについてはカ◯ヨ◯編集者と思うんだ。

な◯うならな◯うと契約している各出版社の編集者ね。


もちろん、読者が面白いと思える作品の方が良いけれど、それは絶対の指標ではないよね。

だって皆、好みがそれぞれあるから。


僕なんかも少し前なんかは最強物とか無条件で見てたりしたから、その考えが大多数なら編集の人がその中から選ぶのはむしろ当然と言えるかなと思うよ。


それで当然、流行りというのは流行が過ぎ去れば飽きて来るのは仕方がないことかな。

そこで流行りが終わった後でも面白いと思うかどうかは、人それぞれってやつだ。」


「、、、成る程。

読んでみないと分からないというやつね。」

「そういうこと。

批評家でもないからね。

僕らは仮に自分で小説を書いたとしても、読む立場に回れば一読者だ。


難しく考えず、まず読んでみれば良いと思う。

中には確かに読むんじゃなかった、と思う物もあるけど、それはそっと立ち去れば良いし、その中に『自分の好みの作品』は必ずあるから、それは大いに応援すれば良い、そう思うよ。」


「、、、確かにそうね。

分かったわ、颯太!

私読んでみる!

気が向いたら!」


僕はガクッと椅子からずり落ちる。

「今じゃないんだ、、、。」


紗奈はずり落ちた僕を捕獲して、そのまま床に押し倒す。

「とりあえず今は今日の疲れを癒すためにイチャイチャタイムだもの!

これだけは譲れないわ!」

「はいはい、、、まあ、僕もそれだけは譲りたくはないかな。」

軽くため息を吐きながらも、上に乗っかった紗奈を抱き寄せる。


「じゃあ、颯太ぁー。いっただきまーす。」

そう言って、紗奈は可愛く笑い、僕の口をパックンチョと奪った。

今日は僕が食べられる日らしい。

もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。

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