135日目「遠距離恋愛って切ないね。」
「遠距離恋愛って切ないね。」
紗奈は自分の部屋から持って来たちゃぶ台に顎を乗せて、スマホでネット小説を読んでいた紗奈はポツリとそう言った。
ちゃぶ台の向かいには、たぬきのポン太君が鎮座して居られる。
僕は椅子をゆっくりとクルッと回転させる。
ちゃぶ台があるとスペースがほとんどないので、足元に紗奈が居る感じになる。
「中高生の遠距離恋愛は、ざっくり99%が別れてしまうからね。
99%だとまず別れるとイメージに聞こえるかも知れないけれど、言い換えると100組のカップルが居れば99組が別れ、その内、1組が結婚まで行く。
、、、そう考えると、多いと見るか少ないと見るか、それはその人たち次第かな。
、、、ただの僕の感覚だけど。」
紗奈はちゃぶ台にのべぇ〜と手を伸ばす。
「うー、悲しいけれど、これって現実なのよねぇ。
中高生カップルが結婚まで行くのは、そこまで多くないのは仕方ないことよね、、、。」
「、、、紗奈と前に話したね。
高校生は結婚には早過ぎるって、だけど、反対に恋を知らずにはいられない。
、、、でもまあ、日本の今の時代は、という話だけどね。
結構昔なんかは高校生ぐらいには、女性は嫁に行ってたりした訳だけどね。
男はもう少し歳を取ってからだっただろうから、今みたいに同年代での恋愛も、、、難しい背景もあっただろうけど。」
その辺りは地方や金持ちかどうかとかで全く違ったらしいけど。
「そっかぁ、、、。
それなら、颯太と今こうして居られることを感謝しないとね。」
僕は紗奈の頭を上から撫でる。
「同居せずに紗奈と遠距離になってたら辛かっただろうね。」
僕は何気にそう言ったら、紗奈は目を逸らす。
「、、、お母さんには悪いことをしたわ。」
「どういうこと?」
何かしたの?
「颯太と遠距離になりそうだったから、暴れたわ、、、。」
「前にチラリと言ってた引っ越しの話?」
紗奈と義母さんが、中3の頃に隣から引っ越しするかもと言ってた話か。
「うん、田舎に行こうかって。
、、、そんなことしたら、颯太と子供を作るって、暴れた、、、本当に引っ越しするなら、実行した、、、と思う。」
「あー、、、。」
僕はそう言いながら、上を見上げる。
、、、でもまあ、その結果、今がある訳で。
「よし。
今からでも下に降りて、義母さんに謝りに行こう!
そして、御礼を言おう。
今こうして居られることを。」
紗奈に手を伸ばす。
紗奈は僕の手を取り、頷く。
僕らは手を取り合い、階下に降りていく。
それがどんな人生であれ、与えられた条件の中、僕らは生きていくしかなくて、幾つもの不幸とちょっとした幸運、そう在りたいと努力して今がある。
僕らの最大の幸福は、1番大切なものが何かを分かっていることかもしれない。
だから、それを失わぬ様に、僕らは努力し続けていきたい。
、、、ちなみに、リビングで並んでテレビを見ていた両親は降りて来た僕らを見て一言。
「え?子供出来ちゃった?」
、、、まだ出来てません。
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