126日目「ラブコメはやっぱり純愛が良い。」

「ラブコメはやっぱり純愛が良い。」


それまで僕のベッドの上で転がりながり、僕に抱き枕がわりに抱きしめられながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは、唐突にそう言った。


なお、この格好のリクエストは僕ではなく、紗奈の方だ。

今日はお疲れらしい。


回した腕を甘噛みされてちょっとムズムズする。

「そうだね。突然どうしたの?」

「色んなシチュエーションとか、ラブコメパターンがそれぞれあったりするじゃない?

やっぱり正道というか、真っ直ぐな純愛物が欲しくなることが良くあるわ。

甘くなくても砂糖が出なくてもキュンキュンするのが。」


歌でもあったね、キュンの。

キュンキュンという言葉が良いよね。


「キュンキュンしたいの?」

紗奈はハムハムと僕の腕に甘噛みを続ける。

「、、、いい。

この状態キープしてくれてれば。」


紗奈がぎゅっと僕の腕を掴む。


「はいはい、お姫様。

、、、今更だけど、この状態って実に不思議な状態なんだよね。」

紗奈の頭を撫でる。


「どういうこと?」

紗奈がこちらをちろっと振り返る。


「あ、紗奈。それ以上振り返ると、可愛くてもきゅもきゅするから気をつけて?」

颯太狼は危険ですよ?


「ん、分かった。」

紗奈はそう言って、少し照れたように顔を僕の腕に押し付け、一言。

「、、、話を聞いてから振り返ることにするわ。」


つまり、もきゅもきゅされます、と。


うん、まあ、うん。

紗奈の頭を撫でつつ、落ち着かない気分になってしまった。


そんな中、紗奈はそれで?と続きを促す。


「あー、まあ、大したことじゃないけど、いくら付き合っているとはいえ、毎日、夜にこうして部屋で抱き合ってるって、流石に普通ではないというか、しかも幼馴染なのはともかく、義理の妹と。」


「、、、そうかな?

そうかも。

うん、普通じゃないね、、、。」

また少し恥ずかしそうに僕の腕に、顔を押し当てる紗奈。


弱ってるせいか、行動がいちいち可愛い。

「颯太は、普通じゃないの、嫌?」

見上げるように紗奈は


「もちろん嫌じゃない。

嬉しい、幸せだ。」

唇を重ね、柔らかい互いの感触を味わう。


「んっ、、、私も。」

求めるように紗奈は、しがみつくように僕の首に腕を回す。


そのまま口を重ね。

もきゅもきゅ。

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