41日目★「今日、くノ一さんが来たね。」

「今日、くノ一さんが来たね。」


寝転がって足をバタバタし鼻歌を歌いながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言った。


今日も紗奈の部屋で2人で一日中勉強した後、夜にはいつものように、紗奈は僕のベッドの上に来た。


今日の夕食時は、何故か山芋かけご飯。

ご飯を並べながら義母さんが、

「若いから一日中でも大丈夫かもしれないけれど、やっぱり体力を付けておかないとね。」


紗奈は全力で首を振り、

「違うよ!今日は颯太とずっと課題をやっていたんだよ!」

と反論。


そこで、義母さんの目がキラーンと光った気がする。

それはまさに迂闊!


義母さんは実に楽しそうに、アルカイックスマイルを浮かべる。


「ふ〜ん、そう、ね?」

「そう、今日、、、あ!」


紗奈!

あ!じゃないからー!!!!


さらっと流しておけば良かったのに〜!

、、、まあ、無理だろうな、紗奈だし。


どことなく気まずいような雰囲気で食事終了。


、、、まあ、応援してくれているようで、今度ちゃんと相談します。

でも、今度で。


そんな雰囲気の後の今に至る訳だけど、紗奈はいつも通り。

マイペースな子である。


とりあえず、頭を撫でつつ。


「何か小説を読んでそう言ってる?」

僕が尋ねるといつものように「ん!」とスマホを差し出す。


【くノ一さん】


「成る程、くノ一さん、、、。水道の検査の人来たね。」

「うんうん。」


そう言って、紗奈は僕の腰にしがみ付く。


「これ凄く良いよね。例え方が。そうか、この人、くノ一さんなんだ。」

しきりにへーとかほーと言ってしまう。


「でも、颯太は私の日常から居なくなったら駄目だよ?

そうなる前に監禁するからね?

そして、ちゃんと責任取ってもらう。」


そうだね、と言って僕は紗奈の口にキスを落とす。


「今度、父さんと義母さんにちゃんと相談しようと思う。僕ら2人のこと、、、。」


僕がそう言うと、紗奈は身体を起こし、僕と向き合い、、、僕の両手を握る。


「、、、うん。」


見つめ合い、僕らは唇を重ねた。

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