39日目★「この幼馴染、ついに覆盆しやがった!」

「この幼馴染、ついに覆盆しやがった!」


僕のベッドの上で、寝転がって足をバタバタし鼻歌を歌いながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう叫んだ。


「颯太ー!颯太ー!」


紗奈が涙目でベッドで両手を広げ、僕を呼ぶ。


僕はすぐに椅子から立ち上がり、紗奈の隣に座ろうとして、そのまま引っ張られ、寝転びながら抱きつかれた。


「この女、覆盆したー!しかもクズ男相手に!どうして幼馴染、こんなに覆盆されるの!?呪い!?


、、、こうなったら、子供が出来るまで颯太と監禁生活送って、お腹の子が颯太の子以外有り得ないことを証明するしかないわ、、、。」


紗奈の目が据わっている。


い、いかん。


「落ち着け、紗奈。

紗奈はちゃんとここに居るし、僕以外の誰にも寝取られてないから!

と、とにかく、何を読んだんだ?」


紗奈はしがみついたまま、スマホを見せる。

ちなみに2人でベッドで寝転んだまま。

離してくれそうにないので、仕方なくそのまま読む。


【結婚式で妻(仮)の不貞を暴露して女性不信に陥りました。】


「題名からして、そういう表現あるの分かってたはずなのに、何故読んだ?」


「ざまぁ系みたいだから、スッキリするかと思って!まさかこの女が幼馴染でクズ男に引っかかるダメ女だったなんて!

幼馴染の風上にもおけない!」


幼馴染の風上って何?


「ふふふ、、、颯太に疑われるようなことが万に一つでも起こらないように、徹底的にいかないと。

は!職場が忙しくなったら、颯太と会えなくなる!?

それはいけない!

同じ職場で働かないと!

颯太!明日から私も一緒に勉強する!

勉強してからネット小説読む!」


「うん、勉強することはいいことだね。今からでも「今からはダメ」、、、ですか。」


この小説を一緒に読み進める。


「、、、そうだよね。悲しいことだけどこういうこと考える男女が居るから、私たちのような健全な幼馴染が迷惑を被るの。

私、金髪クズ野郎を見ると、始末してしまうかもしれない、、、。

は!そう言えば、クラスの山本君がこの間、金髪にしてた。」


「いや、うちの学校、流石にこういうクズ居ないから。

山本は格好つけて金髪にしたけど、全くモテなくて凹んで、この間、子供にプリンって揶揄われてたし、後モテないけど、とても良い奴だからやめてあげて。」


紗奈は僕にしがみ付くのに飽きたのか、首筋から肩にかけて唇を這わす。

とりあえず、僕は襲われてます。


「なんで、この手のクズってモテるのかしら?後、クズ男を好きになるのもよく分かんない。」

「男の僕の方がよく分かんないかな?性格イケメン結構居るはずなのに。」


やっぱり顔?


「あー、考えてみたけど、多分、アプローチが上手なんだと思う。

相手を気にして声を掛けられない性格イケメンより、グイグイ来てくれるアプローチ上手なクズ男の方が求められてる気もして、魅力的に見えるんだと思う。


クズ男がイケメンだったり、野性味あふれてたりすると特に。逆で考えてみて?」


男と女は少し違うけど、、、。

ビッチだけど、美人でグイグイ来てくれて、、、。


「あー、なんとなく分からなくもない。」


「でも!私は無いからね!、、、信じないと言うなら、このまま、、、にんし「信じる!信じるから!」、、、ちょっと残念。」


節度の話を最近したばかりなのに、際限ないよなぁ。


まあ、仕方ないんだけど。

繰り返しだけど、同じ部屋に好きな子と居るんだ。何もない訳はない。


「とりあえず今日は、このままでお願い、ね?」

「、、、了解。僕のお姫様。」

えへへ、と紗奈は笑って、僕にまたしがみついた。

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