21日目「私、隠キャぼっちになるわ。」

「私、隠キャぼっちになるわ。」


僕のベッドの上に転がりながら、自分の枕を蹴りながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言った。


僕は、英語の書き取りをやめ、椅子をくるんと回転させて紗奈の方を向く。


「最近の紗奈の一言は、無視出来ないものが多いね?」


蹴っていた枕を抱え、紗奈は小首を傾げる。


「そう?」

「そう。」


小首を傾げるの可愛いよね。

わざと?

うずうずしてしまうんだけど?


「よく小説であるでしょ?隠キャぼっちの僕が〜って。」

「隠れる方ではなく、陰が多いんじゃない?」

「陰キャぼっち?」

「そう、陰キャぼっち。」

颯太ふうたは陰キャぼっち?」


小首を傾げ、また可愛く言うけど、なんか釈然としない。


「陰キャではあるけど、ぼっちではないよ。孤高のぼっちとかレベルが高い。」

「そうなんだ?陰キャぼっちってやっぱりモテるんだ。」


今度は僕が首を傾げる。


「通常、陰キャぼっちはモテないよ?モテたら、その時点でぼっちじゃないよね?」


「あ、そう言えばそうだね?あれ?じゃあ、この小説とかの陰キャぼっちってどう言う意味?」

紗奈が久々にスマホを、僕に見せてくる。


僕は紗奈の隣に座り、せっかくなので、スマホを持っている紗奈の手を、両手で包むように握っておいた。


「ひゃ、ち、違、!」


動揺し出したので、僕は調子に乗って、頭にキスを落としておいた。


そのまま、紗奈の手を握ったまま、ネット小説を読む。


「イチャイチャしてるね?」

僕は顔を真っ赤にした紗奈に言う。


「、、、イチャイチャしてます。」

紗奈が僕を見ながら、恥ずかしそうに答える。


、、、僕らのことじゃないよ?

まあ、紗奈が可愛いからいいや。


「なんでだろ?陰キャでぼっちがモテるから特徴的ってことかな。

もしくは、ぼっちにそこまで意味があるのかも?まだ最初の方だから、後半にその意味が出てくるかな?」


「う〜ん。あるのかなぁ、、、?

ねえ、陰キャぼっちはともかく、陰キャはモテるよね?」


「普通、陰キャもモテないと思うよ?モテるのは陽キャ。」

「え?でも、颯太、陰キャだよね?」


「陰キャではあるけど、それをあっさりと何度も認めるほど、僕は心は強くないよ?陽キャの方が良いと思うよ?

後、知ってると思うけど、僕はモテないよ?」


紗奈はまたまた、小首を傾げる。


今日は小首を傾げるの、繰り返すね?

ちなみに今も手は握ったままだ。


、、、離したくないので。


「何で、僕がモテると思うんだ?」


「え?優しいし、包容力あるし、頭良いし、努力家だし、落ち着いているし、格好良いし、大事なことからは逃げないし、話もちゃんと聞いてくれるし、甘やかしてくれるし、後、温かいし、触るとドキドキして嬉しいし、それに、、、。」


、、、止めないんじゃない、恥ずかしくて顔が上げられなくて、止められないんだ!



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