レオ

昔、好きだったアニメの主人公から

名前をもらった

前足の太い子犬だった

スリッパを咥えて小首を傾げてる写真


大人になっても甘えん坊で

学校から帰ってきたわたしに

すぐにお腹を見せて

撫でて、とせがんだ


わたしが20歳ハタチになった時に

逝ってしまった

一晩中泣いて泣いて

それから動物は飼っていない


ねぇ、レオ

最近になってよく

キミのことを想いだすんだよ

あの頃のキミとわたし


ピンと立っていた耳

クルンと巻いた尻尾

濡れた黒い鼻面

そして、つぶらな瞳


ねぇ、レオ

わたし、キミにとって

良い友達でいられたのかな

多分、足りないことばかりだった


生命を預かるということの大きな責任を

キミに教えて貰った気がする

そういえば、あれがはじめての

見送りと別れの実感だったかもしれない


今になって思うよ

キミという友達を想いだすんだ


あの頃よりもっと生命の重さを

思い知ったわたしは


でも、だからまだ

動物を飼えないでいる

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