進め!悪の組織部!
わきゅう
プロローグ
第0話 決戦!ウメダ陥落戦! ~Advance to hell !~
「なんでこんな事になってんだよ……」
呟く俺、
巨大な、今まで見た事も無い程に巨大な赤い火柱が、夜の闇を塗り替えてしまいそうなくらいに強く輝いている。
爆炎と黒煙が、空高くそびえ立つ鉄骨と鉄筋コンクリートで築き上げられた巨大な塔を包み込んでいた。
高さ1080m、重量は1万トンにも及ぶ、超巨大建造物が。
ありとあらゆる闇の商いの地、オオサカエリアの象徴が。
立て続けに起こる爆発に、その塔――、“
「はーっはっはっは! やはり炎はいいな! 爆発こそが芸術だ! そうは思わないかね、
現在時刻は、午前0時を少し過ぎたところ。場所は“
“超天閣”からはかなり距離が離れているビルの屋上に居るにも関わらず、爆音と熱風に煽られながら頭を抱えている、俺の横で。
バカみたいに露出度の高い服を着た、バカみたいな笑い声を上げている、幼馴染のバカ女は、大層ご機嫌な様子だった。
「なぁ、ダッキ。教えてくれ。……なんで、こんな事になってんだ?」
先程の呟きを、今度は明確な質問にしてみる。
燃えるような赤髪のポニーテールに、貧乳のくせして肌が多く露出した際どい衣装を着ている女。――俺の幼馴染にして、今や『人類史上最悪の女』の異名を持つ、
「ほう? この我に、随分とわかりきった事を聞くではないか?」
悪の一文字が刻印された金バッジという、どうにも取り繕えない代物がついた黒い
「無論! 我らの“世界征服”の第一歩が完了したからに決まっていよう!」
丸っきり悪の総帥みたいなダッキの台詞に、俺はますます頭を抱える。できれば、このまま膝も抱えてうずくまりたい。そのまま、この現実を見て見ぬフリしたい。
だが、そんな俺の思いとは関係なく、次々と起こる爆発はより激しさを増し。
ついには、“超天閣”の先端部分を、大きく吹き飛ばした。
「おぉ、見るがいい
――あぁ、この世の終わりってこんな感じなのかなぁ。
もはや、諦めの境地に達しつつある俺の横で、
物語に出てくる、悪役みたいに。
いや。悪役みたいに、じゃ正確ではない。
――咎ノ宮・ダッキは、悪なのだ。
完全に、救いようもなく、どうしようもないくらいに。
悪の組織部なんて馬鹿みたいな部活の、“
……燃え盛る炎に煌々と照らされている夜空を見上げる。
あぁ、神様。
今までロクな事をお願いしてきませんでしたが、今度のお願いはマジです。
マジで、お願いします。
時間を。
あの日、あの時まで時間を戻して下さい。
この最悪が、『これから世界制服を開始する!』なんてバカげた事を言い出した時にまで。
満月が、「知らんがな」とでも言いたげに、ポツンと浮かんでいた。
――時は、数ヶ月前まで遡る……。
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