新学期

 春休みも終わり、僕たちは2年生に進級した。今日は始業式の日であり、僕たち2年生の1大イベント、クラス替えの結果発表の日でもある。

 

 登校している間も、クラス替えのことで頭がいっぱいだ。抑えきれない不安を、隣で歩く中山に漏らしてみる。


「あー、クラス替えかあ‥‥‥何組になんのかなあ‥‥」

「つっても、おれたち理系だし、3組か4組かの二択じゃん。ま、どうせなら4組がいいけどな」

「え、なんで?3組と何か違ったっけ」

「ま、教室着いたら教えてやんよ」

「教室着いたら‥‥って、僕と中山、教室違うかもしれないのに‥‥」


 ここまで言って、僕は立ち止まった。うつむきがちになっていた顔を上げて、僕の数歩先を行く中山を見た。中山は、僕を振り返って、美しい微笑を浮かべた。


「今年もクラス一緒だといいな、陸」


 そう言ってくるりと踵を返すと、中山は満足げに歩き出した。僕も慌ててあとを追う。

 さっきの中山の言葉、僕のハートを見事に射貫いていた。中山は、僕が欲しい言葉を僕が欲しいと思ったタイミングで的確にくれる。そこが、僕が中山と一緒にいたいと思う理由の1つだった。


 校門を通り抜けて、いよいよ玄関に近づいてきた。クラス替えの表は、毎年、生徒玄関に貼り出されている。僕たちは、その表を見て自分のクラスを確認してから、自分の教室へと向かうのだ。

 さて、僕たちのクラスはというと‥‥


「お、陸!見ろよ、これ!おれたち、一緒のクラスじゃん、ほら」

「え、うそ‥‥‥あ、ほんとだ!おんなじ4組だ!え、普通にうれしい‥‥」

「よっしゃー!これで修学旅行も一緒に回れるな!」

「うん、本当に、よかったあぁ‥‥」


 僕と中山は、今年も同じクラスになった。本当に良かった。これなら、1年生のときと同じような毎日が送れるし、修学旅行も楽しめることだろう。3年生はクラス替えがないから、今から卒業まで中山と日常を送れる。なんともありがたい結果だった。クラス替えの神様、ありがとう。


 そんな感じで、クラス替えの結果に大満足した僕と中山は、自分たちの新しい教室、4組へと足を運んだ。

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