第7話
何年かぶりに僕の部屋に桔梗が入ってきた。ここ最近の桔梗はクールキャラが嘘だったんじゃないかと思うくらいデレデレだ。今までなら部屋に来ることなんてなかった。だからか普段リビングや学校では普通に話せるのになぜか自分の部屋しかもベットに腰掛けた状態で何を話したらいいのかわからなかった。
しばらく無言のまま二人してベットに腰掛けた状態だったのだが
「……お兄ちゃんはさ、こんな妹どう思う?」
「こんな?どういうこと?」
「今まで接して来なかったのに急に構うようになったりとか」
桔梗も思うところがあったのか。今までこんなにかまってくることなかったもんな。子供のときでもなかったと思う。
「確かに最初は驚いたしどう接したらいいかわかんなかった。」
僕の正直な言葉で桔梗は少し顔を俯かせた。だから僕は続けて
「でも今の桔梗もそれはそれでいいと思う。兄妹仲がいいのはいいことだし。今は2人だからこれからは協力していきたいと僕は思ってる」
桔梗の聞きたかった答えかどうかはわからないがこれが僕の本心なのは間違いない。すると桔梗は小さく微笑み「……そっか」と呟き、僕の腕に抱きついた。
一瞬のことですぐに反応できなかった。さっきまで兄妹として協力していこう的な事を言ったそばから妹は女を出してきた。腕に伝わる柔らかな感触。桔梗は不破さんのを羨ましそうにしていたが桔梗もかなりあると思う。ただ不破さんがありすぎるだけだ。
いかんいかん。いくら思春期男子といえど妹に発情はヤバすぎる。なんとか意識を別の所にやろうとするがそんな僕の心を見透かすかのように桔梗は耳元で
「……じゃあ寝よっか」と若干顔を赤らめた桔梗がそんなことを言いやがった。
僕はどもりながら「あ、ああ」と返すのがやっとだった。
その後二人して布団に入ったのだが僕のベットはシングル。とにかく狭い。それにより密着がえげつない。僕はこれ以上はなんだかヤバいと思い
「………やっぱ部屋に戻ってくんない?狭すぎて眠れん」
すると桔梗はくすくすと少し笑ったあとさらに密着してきて
「………やだっ」
こいつ、可愛すぎるだろ!妹じゃなかったら落ちてたわ!妹でも若干やばかった。これは内緒だ。
まだくすくす笑ってる桔梗。なんだか段々と腹が立ってきた。なんでこいつはこんなに余裕なのだろうか?僕だけドキドキしてるのは納得がいかなかった。だからだろうか?僕はこの事を後で後悔し過ぎてしまうとも知らずに桔梗の耳元まで顔を寄せたあと
「………じゃあもっとこっちにこい」とキザなセリフを実の妹に言ってしまった。僕が言ったそばから後悔が始まっていると言われた本人は
「あばばばばばばば」と顔を真っ赤にし、バグっていた。そしてしばらくバグったあと勢いよくベットから降りて
「……ききききょうはこ、このくらいにしときます!!!」と言って部屋を出ていった桔梗。
ちょっとの反撃のつもりが二人とも大ダメージを負ってしまった。明日からなんだか顔合わせづらくなってしまったとさらに後悔する僕だった。
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