第69話 野獣の森入り口その危険な夜

【ご注意】

今回エログロシーン有りです。

苦手な方は跳ばしてください。




イタチは猛っていた。

あの女。


「自分で何とかします。

 イタチさんの助けは借りません」


イタチを蔑むような目で見ていた。

コノハめ。

その場でブチのめしてやりたかった。

助けてください、お願いします。

そう言って泣くまで殴って殴って殴る。

許してください、イタチ様。

そう言い土下座する身体を犯して犯して犯す。


狂暴な衝動が躰の中で蠢く。

このままでは眠れそうにない。

どこかに襲えそうな女はいなかったか。

いや。

もう村には若い女の一人暮らしはいない。

全員襲ってしまった。

後はコノハくらいだった。


コノハは母親のサツキと二人暮らし。

サツキも子供を産んでいるがまだ若い。

二人とも充分にイタチの対象だ。

しかしあの家には“妖狐”がいる。

だから襲えずにいた。

そうこうしているうちにコノハは村を出ていった。

惜しい事をした。

しかし戻ってきたのだ。


コノハと一緒に女が増えていた。

なかなかいい女達だ。

背の高い女が二人いた。

絵に描いたような美人だ。

背の高い美女を暴力で屈服させて嬲る。

キレイな顔を歪ませてやるのだ。

生意気そうな女。

剣を持っていた。

身動き取れない様にして犯す。

抵抗できない身体に男性自身が挿入されたらどんな声を上げるだろう。

革鎧の女。

なかなかそそる身体をしていた。

しかもそれを見せびらかすような鎧。

あの身体を嬲って嬲って嬲る。

犯してください、イタチ様。

そうお願いさせてやる。


今この瞬間に家を出て女達を襲いに行く。

そんな衝動に駆られる。

しかし。

冷静に考えろ。

あの女達はまぁまぁ出来そうだった。

生意気そうな女とそそる身体をした女。

あいつ等は手強い。

その二人には劣るが、槍と弓矢を持つ美女。

あれも油断できない。

一緒に戦えば、イタチでも勝てるだろうか。


しかしイタチの体は猛っている。

狂暴な衝動が抑えきれない。

気が付けば雨が降っている。


素晴らしい。

天の恵みだ

街に行くとしよう。


イタチは家を出る。

雨が音を、臭いを消してくれる。

村には音に敏感な者、臭いに気付く者がいる。

この雨なら音に気付かれない。

臭いも跡が残らない。


『野獣の森』に向かう。

村から森への道には見張りが居る。

しかしイタチが気づかれる事は無い。

身を隠しながら走る。

四肢を使ってしなやかに走るのだ。


『野獣の森』の中。

今のイタチにはどこにどんな魔獣がいるか。

うっすらと気配で分かる。

手強いモノを避けながら素早く移動する。

普通の人間には通れない。

通る事が出来ると思わない場所。

それらを使って移動する。


迷宮の層を分けるカベ。

通り抜ける事が出来ないと思われてるカベ。

そこにも通れる場所はある。

狭いが通ろうと思えば通れる綻びが有るのだ。

迷宮と迷宮の層を分けるカベだけではない。

迷宮と外の世界を分けるカベにもだ。

迷宮と外の世界を分けるカベは頑強。

層を分けるカベよりも分厚く頑丈。

普通には通れるものでは無いと感じる。

だが綻びが有る。

イタチが『野獣の森』に入るようになったのは数年前。

その頃は見つけられなかった。

今は綻びを感じられる。

幾つも綻びは有る。

中には大きいモノも有る。

イタチはそれを使っていた。

イタチだけじゃない。

他の魔獣もいつ通ってもおかしくない。



ベオグレイドには酒場が有る。

どの街にも酒場は有るだろう。

その奥の方に色街が有る。

娼婦のいる店。

街娼も街に立っている。

女を連れて入るための宿も有る。

その色街の中でも比較的大きな店。

一階は客が飲み食い出来る酒場。

カウンターには女性がいる。

店には二階がある。

二階は泊れる宿だ。

男性客はカウンターにいる気に入った女性を連れて二階に上がる。

そんな店。


きわめてまっとうな商売だ。

表向きは。

帝国で売春は禁じられていない。

しかし裏はどうだろう。

帝国で人身売買は禁じられている。

人間を奴隷として売り買いは出来ない。

法律に定められてる。

だが亜人は?

亜人を売り買いしてはいけない。

そんな法律は無い。

条文に書かれていない。

だから、裏でもまっとうな商売。

店はそう言っている。

それでも表向きにはしていない。

知っているのは従業員と一部の顧客のみ。


「いらっしゃいませ…

 なんだアンタか」


店の人間がイタチの顔を見て来客の挨拶を止める。

イタチはいつの間にか服を着ている。

布の紳士服。

街を歩いても亜人とは気づかれない。


「用があるなら裏口から来いよ」

「何だとは失礼だぜ。

 今日は客だよ」


イタチが言う。

店の男はイタチの顔を見る。


「客だって?」

「ああ。俺だってたまには女を抱きたくなる」


「フーン。

 しかしアンタは女を痛めつけ過ぎるからな」


男は何かを思いついたようだ。


「ちょいとお仕置きしたい女がいる。

 脱走しかけたんだ。

 捕まえて軽く痛めつけたんだが、反省してない」


「アンタの得意だろ。

 反省させてやってくれないか」


イタチは笑う。

今日はツイてる。

雨も降って来たし、女も痛めつけられる。


「よし。

 その話のった。

 何をしてもいいんだな」

「おいおい。

 殺すんじゃないぞ。

 他の客に出せなくなる見た目にするのも止めてくれ」


「大丈夫だ。

 心得てる」


イタチは地下に通される。

普通の客には入れない場所。

従業員と特殊な趣味を持つ顧客しか知らない場所だ。


イタチの鋭敏な耳には聞こえる。

助けてと泣くか細い声。

攫われてきたばかりの女だろう。

客が女を責めさいなむ音。

鞭で女を打っているようだ。

普通の男女の交合音。

地下まで来てそれか。

普通じゃ効かない料金を払っているハズなのに。

そう思ったが、どうも女が若いらしい。

普通じゃ手が出せない年齢の女。

それが趣味なのだろう。


「この部屋だ。

 他の客に出せないようにしたらアンタからでも金は貰うからな。

 気を付けてくれよ」

「心配するな。

 得意だって知ってるだろう」


イタチは案内された部屋へ入って行く。

女がいる。


「アナタ誰なの?

 見たコト無い顔ね。

 店の人間じゃないのね」


女は縛り付けられている。

縄で手足を縛ったうえ。鎖で繋がれている。


「ねえ。

 助けてくれないかしら。

 この鎖だけでも外してよ」


イタチは答えない。

思ったより若い女。

脱走する気力が有るのも若いからか。


「お願いよ。

 お礼はするわ。

 足が痛いの。

 このままじゃ足がダメになっちゃう」


女の声には媚が含まれている。

イタチは女に近付く。


「鎖が痛いのか」

「そうよ。

 そうなの」


女の顔がパッと輝く。

希望を持ってる目。

ちょうど踏みつぶしたくなる目。

今日のイタチは本当にツイてる。


イタチが近付くと女は襲って来た。

酒瓶を持ってる。

店の男が持ち込んだのか。

酒瓶でイタチを殴りつけるつもりのようだ。

縄をなんとか抜けだしたらしい。

鎖だけは外せなかったところにイタチが来たと言うワケだ。

イタチは酒瓶を避けて、女の腹を拳で撃つ。

呻く女から酒瓶を取り上げる。


女は苦しそうに喘ぐ。

腹を殴られると横隔膜が圧迫される。

呼吸困難に陥るのだ 


イタチは酒瓶で壁を殴りつける。

酒瓶が割れて、ギザギザなガラスが出来上がる。

鋭利な凶器だ。


喘いでいる女の顔を持ち上げる。

凶器を顔に近づけて見せる。


「やめて、やめて。

 顔は傷つけないで」


顔のそばに尖ったガラスが付きつけられる。

女は怯えた顔で言う。

顔が自分の商売道具だと心得てるようだ。

確かに可愛らしい顔立ちをしている。

若さとこの顔で愛想良く笑って見せれば普通の男は夢中になるだろう。

普通の男ならば。


「心配するな。

 売り物を傷つけるなと言われてる」


イタチはニヤニヤ笑ってみせる。

凶器を女に見せつけながら言う。


「腹にしよう。

 これで腹を刺せば、ヘソの穴が10コくらい出来そうだ」


女が怯えた顔をしている。

イタチの好物だ。


「やめて。

 お願いよ。

 死んじゃうわ」


酒瓶を振り上げる。

勢いよく凶器を振り下ろす。

女の腹目掛けて。


「イヤッ!」


「アアッ、アアアアア」


イタチの手は女に当たる寸前で止まっていた。

女はまだ怯えた顔のまま。

凶器はまだ女の体に当てられてる。

素肌のお腹に鋭利なガラス。

女の白い肌を這う。

肌を少しだけ刺す。

皮膚が少し押される。

傷つかない程度。


「やめて。

 ホントウにやめて。

 怖いの。

 お願い、やめて」


女はすでに目に涙を溜めている。


「ねぇ。

 それを離して」


女はガラスの事を言っている。

鋭利な凶器。

イタチはもう少しだけ、凶器を女の肌に這わせる。

胸の部分まで。

胸の膨らみに鋭いガラスが当たる

血が滲む。

尖ったガラスが当たったバスト。

そこから小さく赤いモノが浮いている。


「いや。

 やだ、やだ。

 痛い、痛いの」


「おっと、しまった。

 傷つけちまったな」


イタチは笑う。

全く失敗したと言う顔では無い。

わざと傷つけたのだ。

少しくらい血の匂いがした方が興奮する。


「よーし。

 なんでも言う事をきくか?

 これからはいい子にすると誓えるか?」


「は、はい。

 言う事をききます。

 だからそれを離して」


イタチの顔を見上げる女。

許しを請う眼差し。

口元は喘ぐように開いている。

イタチは女に噛みつくようなキスをした。



「ハァ、ハァッ」


男と女の音がしている。

女は若い。

だがそろそろ限界。

すでに何時間交わっているのか。


「ね、ねえ。

 もういいでしょう。

 そろそろ許して」


女の上で律動を繰り返す男に請う。

既に女は何度か絶頂に達している。

男だって何度か達している筈なのだ。

なのに男は止める気配が無い。


先ほどの男は本当に怖かった。

女も暴力的な男には何人も会って来た。

女を平気で殴りつけるクズだ。

でもみんなカっとなって衝動的に殴るのだ。

暴力を振るった後では悪かったなという顔になる。

謝ってきたり、泣きだすような男もいる。

同じ人間だ。

人間を傷つけるとイヤな気持ちになる。

それはみんな一緒だろうと女は思う。

年上の人間に言ったら、甘い考えだと笑われるかもしれない。

でも人間らしさってそんなものじゃないかな。

つい暴力を振るう。

後で悪かったなと思う。

みんなそうだ。


でも。

女の上で動く男。

今は女を後ろ向きにさせて背後から攻めてくる。

何度か達してる筈なのに男はまだ疲れた風が無い。

この男にはその人間らしさが感じられない。

暴力のプロなのだろうか。

仕事だから。

慣れているから。

平気で人を傷つける。

それも違うと思う。

男は喜んでいた。

怯えた女を見て笑っていた。

愉悦の笑み。

気持ち悪い。

怖い。

ワタシを人間だと思ってないのかもしれない。

女をエモノかオモチャとしか思ってない。


女の想像は逆だ。

イタチは女を人間だと思っていないのじゃない。

イタチは自分自身を…。


女はまた怖くなる。

先ほどから自分の背中の上で動いていた男。

その動きが荒々しくなる。

背後から回された男の手。

それが先ほどまでと違う。

背中に、尻に男の肌が当たる。

その感触が違う。

いつの間にか男が毛皮を着た?

毛の感触が当たる。

全身に。

背後から回された男の手。

それに毛がびっしり生えている。


「あ、ああああああああ!」


女は叫び声を上げる。

後ろを振り向く。

確認せずにはいられない。

女は見てしまった。


顔中に生えた獣毛。

赤く光る眼。

突き出た鼻。

前に迫り出し、横に広がる口。

犬歯が生えている。

人間の顔では無い。


ケダモノだ。

いつの間にか女はケダモノに犯されていた。

四つ足のケダモノ。

ケダモノが後ろから女を激しく犯す。


「いや、嫌、イヤ、いや。ああああああああああああああああああああああああ!」


明け方、イタチは部屋を出る。

店の男に声をかける。


「あの女。

 もう逆らう事はないだろうぜ」


若い女は抜け殻のようになっていた。

イタチが部屋を出るのに気が付きもしなかった。

店を出ようとするイタチに男が声をかける。


「また、女を仕入れられないか。

 アンタが連れて来た亜人の女どもは評判いいんだ」


それはそうだろう。

攫って来た女を奴隷扱いしてる。

若い女を奴隷として好き勝手に出来るのだ。

評判もいいに決まっている。


「もう、若い女がいないんだよ」


そう言ってからイタチは考えを変える。


「おい。少し荒事に強いヤツを借りられないか?

 そうすれば女を連れてこられる」


「おいおい。

 揉め事はゴメンだぜ。

 ウチはこれでも法律範囲内で商売してるんだ」


「なに、亜人の村だ。

 少し荒っぽいコトをしても騒ぎにもならない」


「いいか。

 いままでの女の比じゃない。

 極上の女を数人連れてきてやる」



【次回予告】

『野獣の森』

亜人の村の入り口から入って広い。その奥に通れない場所がある。ゲートが有って、そこ以外通れない。ゲートから入って行くと『野獣の森』の奥部分。

戦士達は誰も入った事が無い。ウワサではさらに危険な魔獣がいると言う。最大最強の“双頭熊”、石化の呪いを使う“蛇雄鶏”(コカトリス)、猛毒の“鴆”。全て奥にはウヨウヨ居ると言われてる。入り口側には普通いない。がなにかのハズミでたまに出てくるのだ。

「なに、プロポーズ!プロポーズなの?」

次回、浮かれた声を出してるのはエリカだ。 

(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)


















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