第44話 新たなる迷宮へその2

みみっくちゃん中心に目立つ美女4人が街を歩いてましたですよ。野郎が目を付けない筈が無いです。酔っぱらいに絡まれたですよ。迷宮に入ったところです。最初の広間こそ準備してる冒険者が多いですが、真ん中の道を進めば一気に人気の少ない道になりますですよ。向こうからすれば狙い目です。



「おいおい、そこの坊っちゃん。男一人で女四人も引き連れて、いい御身分じゃねーか」


迷宮に入った途端、ショウマ達は声をかけられた。


「自分で迷宮に入るとは、何考えてんだか」

「こっちとしては好都合だぜ」


「おいガキ。見てたぜ。ずいぶん羽振りのいい買い物してたじゃねーか」

「俺たちにもちょっと分けてくれねーか」


「お前らが平和に暮らしてんのは、オレたち冒険者が命懸けで戦ってるおかげなんだぜ」

「それを考えて、ちったあお礼をしてくれよな」


男たちは4人いた。

街で飲んでいたのだ。

美女4人が歩いているのを見たら、ついチョッカイもかけたくなる。

そうしたら、一緒に男が居たのだ。

金のかかってそうな上等のコートを着た男。

よく見たらガキだ。

成人してるかどうかといった年齢のヒョロっとしたガキ。

どこぞの裕福な商人の息子か、貴族の子供。

貴族や、金持ちにケンカ売るのはマズイ。

だが、何処に向かっている?

それは迷宮の方向だ。


「街でケンカしちゃあ、警備団が飛んでくるがな」

「迷宮の中じゃそうはいかないぜ」


男の一人が剣を抜く。

本気で斬るつもりはない。

オドシだ。

相手は貴族の坊っちゃんかもしれない。

下手にケガさせたら後でマズイ事になる可能性が有る。

これは強盗じゃないのだ。

迷宮で冒険者が戦っていた。

その雄姿に感動して、坊っちゃんが金をくれたのだ。


ついでに女もどうにかできないだろうか。

男たちにその場で女を襲うほど度胸は無い。

しかし、金目当てでガキに媚売ってる女達だ。

一人くらいはこちらに媚を売ってくるかもしれない。

そしたら、酒に付き合わせるのだ。

タップリ酔わせてやろう。

そして朝までエヘヘヘヘ。


都合の良い妄想と酒に酔った男達。

しかしその剣は本物だ。

妄想では無い。


凶器を持ったまま、ショウマに近づく男。


「そのキレイな顔に傷を付けたいか。

 おっとケガさせたのは冒険者じゃねえぜ。

 魔獣にやられたって事にしときな。

 箔ってもんが付くぜ…」

セリフが言い終わる前だ。

男がショウマの近くから横にすっ飛んでいった。


「え!」

「え!」

「え!」


残された3人の男。

彼らは思う。

今アニキ分はどうなった。

良く分からないけどぶっとんでった。

アニキの居たところには女が居る。

足を上げてる。

まるでキックをした後みたいなポーズだ。


「ショウマさまに剣を向けたなっ」


その女がこちらに視線を向ける。


なんで俺たちの体は震えてる。

見れば女もガキだ。

まだ15~6歳だろう。

図体だって俺たちより小さい。

普通の少女。

黒いドレスに白いエプロン。

スカートがフワッと上がってる。

胸が大きく尻もデカイ。

酒場で会ったなら、ケツの一つも撫でてやろう。

そんな女なのだ。


フッ


女に一番近い場所にいた男。

そいつの姿が無くなる。


「え!」

「え!」


そいつの姿を探す。

上だ。

上にいた。

空を飛んでる。

男たちの頭上を超えて飛んでいく。


そしてまた女が居る。

また足を上げてる。

ハイキックの形。


スカート姿で足を高く上げてる。

正面にいる男たちの視線が吸い寄せられる。

スカートの中に。

純白レース!


ヤバイ状況だと分かっていながらニヤケてしまう男たち。

冷や汗をかきながらニヤケる。

器用な真似をする男たちだ。

しかし魅惑の光景はすぐ消えてしまう。


女が足を下したのだ。

女の顔が見える。

目が光っている。

底知れない怒りの視線だ。


もう男たちには分かっていた。

目の前にいるのは女だ。

でも女じゃない。

女の形をしたマモノだ。


「助けて!」

「助けて!」


逃げようとする男たち。

しかし、ショウマに凶器を向けた男を逃すケロ子ではない。

一瞬で二人とも宙に蹴り飛ばされていた。


「んー。どうします、ご主人様。身ぐるみはがして持ってきますか。小銭しか持ってないみたいですけど」


みみっくちゃんが聞く。

絡んできた男たちはまとめて縛ってある。


「いや、それじゃ強盗だよ」


ショウマはもうほっといて帰りたいのだ。

ケロ子の雄姿は拝んだ。

男達に用事は無いのだ。


「おい、お前らこんなことしてタダで済むと思ってるのか」

「おれたちゃ冒険者なんだぜ」


「迷宮で会ったら覚えとけよ」

「組合に言って訴えてやるかんな」


「強盗なのはコイツらだろう。優しいのは王の美点と思うが、犯罪者は甘やかすとロクな事がないぞ」

「優しいのは王の美点です。しかし犯罪者を放置しても他の人間に迷惑をかけるだけです」


男たちのセリフをまったく気にしてない従魔少女だ。


「まだショウマさまになにかする気かっ!」


ケロ子が男たちを睨む。

目が底光りしている。

戦闘準備OKである。

これ以上なにか言ったら殺す。

そんな鬼気が言葉に込められている。

黒いオーラがケロ子の全身から溢れ出る。

普段のケロ子が光のケロ子なら、闇ケロ子である。


「!」

「!」

「!」

「!」


男たちは4人とも土下座していた。

縛られたまま平伏低頭。

全面降伏である。


とりあえず、男たちからは武器だけ全部奪った。

縛ったまま放り出してある。

ここは迷宮だけど死にはしないだろう。

1階には魔獣が出なくなったようだし。




そいで次の日ですね。次の日みみっくちゃんたちにけっこう大変な事が起こります。

うん?夜のコトですか。順番的にハチ美だろって。いやですね。みみっくちゃんに何を言わせる気ですか?

ヒトコト言うとすればあの女アザトイですね。計算ですよ、計算。女の計算てヤツですね。みみっくちゃん少女だからまだよく分からないですよ。



ハチ美は可愛かった。

ショウマの前で恥ずかしがって見せる。

「あ・・・恥ずかしいです。ショウマさん」

いつもは王と言ってるのに二人きりになったらショウマさんと呼んでいる。

普段はキリっとした声を出すハチ美が消え入りそうな小さい声を出すのだ。

「ショウマさん。ショウマさん。ハチ美はあなたのものです」

ショウマが体のどこに触れても、カワイイ声を出す。


ショウマのステータスに好感度メーターは無い。

でももし有ったら一晩でハチ美のメーターは爆上がりしたかもしれない。



そいでご主人様は次の日、今日はお休み自由行動と言い出しましたですよ。みみっくちゃんもたまには休日が必要です。ご主人様にしてはいい判断と言えるでしょう。

ケロ子お姉さまはお料理とお洗濯、お掃除するみたいです。お洗濯くらいはみみっくちゃんも手伝いましょう。

ハチ子とハチ美はお掃除手伝うそうです。ハチ子は迷宮探索行きたいとワガママ言ってましたが、みみっくちゃんが一喝してやりました。

ご主人様はベッドルームで寝っ転がって読書ですね。昨日買ってきた絵物語をハジから読んでくつもりですよ。いい気なもんです。あっ、ハチ美がベッドルームの掃除に行こうとしてます。ご主人様のポイント稼ぐ気ですね。それがアザトイというんですよ。



「今日はお休み。

 みんな、自由行動で行こう」


「ケロ子も休んでいいんだよ。

 ご飯はドーナッツも有るし大丈夫」


「いえっ。お休みならキチンと仕込んだ料理おつくりしますっ」

「そうですか。たまにはご主人様も良いこと考えますね。みみっくちゃんお風呂入ってダラッとする事にしますですよ」


「ふむ。王よ。ハチ美と私は鍛錬という事で迷宮探索をしたいのだが、かまわないだろうか?」

「姉様っ?!

 勝手に決められても、私はケロ子殿の手伝いと清掃もしたいのですが…」


「しかし、ハチ美。我らは強さで完全に後れを取っている。ここは鍛錬すべきではないかと考えるのだが」

「うーん。探索は禁止かな。

 どうしてもというなら、

 リーダーみみっくちゃんにして、

 みみっくちゃんの指示に従うならいいよ」


「ええっ?!」

「ええっ?! なんでみみっくちゃんですか。みみっくちゃん、お風呂入るって言ったじゃないですか」


「そうです。私とハチ美二人で充分です」

「いえ。ですから私は行く気は無いと…」


「だって、ハチ子3階以外の魔獣知らないでしょ。

 みみっくちゃんが魔獣の知識一番多いもの」


「ふふん。さすが、ご主人様。良く分かっていらっしゃる。ふっふっふ。先導役をこなせるのはみみっくちゃん以外いないですよ

 ほれ、ハチ子。みみっくちゃん先輩のいう事に従いますと言うなら、一緒についていってやってもいいですよ」


「えーい。いらない。仕方ない。王のご判断だ。休息も必要だろう。今日は休むとしよう」


どーしたものかな。

そのうち従魔少女達だけで迷宮探索に行ってもらおう。

そう思っていたショウマではある。

でもハチ子もハチ美もまだLV5だ。

ハチ子はほっとくと何処までも突き進みそうだ。

それに昨日の件もある。

ハチ子もハチ美も美人だ。

女だけで行動してると男に絡まれるかもしれない。

ケロ子は半殺しで済ませたけど、

「無礼なヤツめ。手討ちにしてくれる」

とか言ってハチ子は本当に殺すかも。

みみっくちゃんが付いていけば、最悪のパターンは回避してくれそうだ。



 みんな家事を済ませたらダラっとしました。みみっくちゃんもお洗濯終わったら、お風呂入ってました。お風呂いいですね。プカプカ浮いてるのがいいですよ。至福のひと時です。

 ケロ子お姉さまはシチュー作ってました。鶏肉を骨から煮込んで旨味がタップリ出てる所にトマトを溶かし込んでます。最後に緑の野菜を載せて、彩も艶やか。さすが、ケロ子お姉さまですよ。

 ご主人様はずっと寝転がって読書です。30冊は有った筈なのにほぼ読み終えたようです。ご主人様がそんなに読書家とは予想もしなかったですよ。

 ハチ子はハチ美に言われて渋々掃除してました。「ハチ子姉様が一番部屋を汚してます。雑巾がけは姉様がすべきです」ハチ子のヤツは着替えると脱いだ服はほおりっぱなし、部屋でトレーニングしては床を汗まみれにするし、当然ですよ。ハチ美もたまにはいい事言うです。

 ハチ美はケロ子お姉さまの料理手伝ったり、ハチ子の掃除監督したりしてました。

しょっちゅうご主人様のところに行っては、お菓子出したり、お茶出したりしてます。ハチ美は侮れないですね。みみっくちゃんももしかしたら見習わないといけないかもですよ。



ショウマは絵物語を読み終えて、ヒト息つく。

ツマラナすぎと思った数冊以外、ほぼ読み終えた。

思った以上に女性視点のが多い。

男向けも有るけど、ショウマの目から見ると工夫が足らない。

足らなすぎる。

下級の騎士が仲間たちの助けを借りて隊長になる。

マジメだが立場の弱かった王子がついに王になる。

そんなんばっかりだ。

いや別に王道は王道でいいのだ。

脇役に個性持たせたり、悪役にも美学持たせたり、

そーゆーのが足りない。

その点、女性向けは意外と工夫されてた。

ショウマはあまり少女マンガに詳しくない。

知ってるのは有名どころ。

「の〇めカンタービレ」「ち〇やふる」

その辺だ。

男が読んでも普通に面白い。

もろ少女マンガになると、あまりキラキラしいのはちょっととなってしまう。

でもこの絵物語、ヤロウ向けの作品は単純すぎる。

女性向けは数が多いし、工夫もされてる。

「女冒険者サラ」もそうだ。

アクションシーンあり、コイバナあり、政治闘争あり、かなりの力作だ。

モデルがあのお婆ちゃんと言うのはマユツバだけど。

カッコイイ冒険者と美形貴族にプロポーズされて、どちらを取るか悩むのだ。

あのワガママお婆ちゃんが。

他にも気に入った作品を同じ作者が書いていた。

エーデルワイス。

絵物語の作者の名前。

どうも文章、挿絵両方書いてるようだ。

絵の方は男が美形すぎる気もするが、女の子の絵もなかなか奇麗だ。

話も気になる。

いいところで上手く場面転換するのだ。

続きが気になるというヤツである。

覚えておいてまた買おう。

そう思うショウマだ。



【次回予告】

ある画家は言った。

誰しもが芸術を理解しようとする。ならばなぜ鳥の声を理解しようとはしないのか。

人は夜や花を、自然を理解しないで愛せるではないか。なぜか芸術に限って、人は理解したがるのだ。

「ええーっ。そんなコトされたら、今月の家賃が払えません」

次回、シロツユは描く。 

(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)

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