< 外伝 > 父のコレクションを阻止しろ


「これは」


 書斎に無造作に置かれたカタログを見つけ、何気なくめくった手がプルプルと震える。


「これはどうにかしなければ」


 "神秘!東洋の秘宝集"と銘打ったそれにはあの日ユアンの行く手をはばんだ憎き甲冑が鮮やかな色彩で描かれていた。


(父さんが見る前に処分するか、いやここにあるという時点で、既に目星をつけているに違いない、カタログを処分したところで意味はない)


──ならば、残る手段は一つ。


「母さん、父さんがまた変な置物買おうとしてますよ」


 これでとりあえずこの問題は大丈夫だろう。


 結果ユアンの新居となる別邸が、父親のコレクションの物置小屋になる事は防がれたのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る