202011 ジャパロボ 47

渋谷かな

第1話 ジャパロボ47

「女子会!?」

 緊急招集されたチーム祐奈の面々が衝撃を受ける。

「何か悪い物でも食べたんですか!?」

「食べてないよ。だって寝てたもの。アハッ!」

「お母さん!? どうしたの!? 仕事が終わったら、お家に帰って温かい布団で寝るんでしょ!?」

「大丈夫。指令車両に枕と布団を積んでいるから。アハッ!」

 いつでも、どこでも、誰とでも眠れる祐奈。

「いったい何があったんだ!?」

「おまえたちは私をなんだと思っているんだ?」

 一同は祐奈の口から女性らしい言葉が出ることに恐怖を感じる。

「祐奈教官! 自衛隊本部からエンペラーの使用許可がおりました!」

「よく使用許可が出たな?」

「チーム祐奈は綾幕僚長の直属の部隊だからね。」

「よくやった! 麻衣!」

「麻衣!? おまえが祐奈教官を止めないといけない立場だろうが!?」

「上官の命令は絶対です!」

 祐奈のパワハラで冬季ボーナスを人質に取られている麻衣。

「おまえたちの4大精霊ジャパロボは目立ち過ぎるから、自然に返しとけ。私のエンペラーで、どこか遠くに行こう。軍服から着替えたらエンペラーのドックに集合な。」

「はい!」

 こうしてチーム祐奈は女子会準備に入ることになった。


「イリスお姉ちゃん。」

「なに? さとみ。」

「女子会って何をするの?」

 臭い汗をシャワーで洗い流している広瀬姉妹。

「ご飯を食べて、服や雑貨を買い物するんじゃない?」

「私、近所のコンビニとスーパーしか行ったことがないんだけど。大丈夫かな?」

 さとみは不安だった。

「私は女子会よりも家族旅行がしたいな。お母さんが寝てばかりだから、家族でどこかに旅行したことなんかないもんね。」

 眠り姫、祐奈を母親にもった娘の悩みである。

「ダメよ!」

 そこに麻衣が割り込む。

「祐奈教官とあなたたちでお出かけされたら、どこか道端で3人とも眠ってしまって、私たちが迎えに行くことになるんですから。絶対に許可できません!」

 麻衣の苦労は尽きない。


「し、しまった!?」

 エンペラーのドックに集まってきたチーム祐奈の隊員に致命的な問題が発生した。

「女子会に行くにしても、私たちの私服がダサすぎる!?」

 女性自衛官たちの私服は男勝りな格好ばかりだった。OLらしい通勤姿は麻衣だけだった。

「お母さん!? どうしてパジャマなの!?」

「寝坊したのでパジャマでやって来たのを忘れてた。アハッ!」

 祐奈はこういう奴である。

「あなたたちこそ、もっと良さそうな服はなかったの?」

「お母さん、娘に服を買ってくれたことがあるの?」

「・・・・・・zzz。」

「寝るな!」

 寝てとぼける祐奈。

「久美、ブラくらいしなさい。」

「誰も見ないって、しがないメカニック女なんて。」

「あちゃ~。」

 チーム祐奈の風紀は乱れていた。

「麻衣、なんとかして。」

「はい! こんなこともあろうかと潜入捜査ということで衣装協力も取り付けておきました!」

「でかした!」

 全員着替え直し女性らしい服装になる。

「これで行けるぞ! 女子会! ワッハッハー!」

 エンペラー・ジャパロボが空に飛び立つ。

 つづく。

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