202011 ジャパロボ 46

渋谷かな

第1話 ジャパロボ46

「オーライ! オーライ! さとみちゃん! もうちょっと右ね!」

 学校が休みの土日はさとみたちは母親の祐奈のチームで自衛隊のパイロット候補生としてアルバイトをしている。

「麻衣さん!? どうして自衛隊なのに治安維持活動でなく、東京ツリースカイの窓ふきなんかをやるんですか?」

 さとみは悪い犯罪者とジャパロボで取っ組み合いの戦いができると思っていた。

「仕方がないでしょ。人間がやるには危ないし、他のジャパロボに飛行ユニットを付けても安定しないし、あんたたちの4大精霊ジャパロボは自由に空を飛べるんだから。」

 風の精霊シルフィード・ジャパロボなら高層建物の窓ふきもお手の物であった。

「そんな!?」

「恨むんなら生まれの不幸を恨みなさい。この仕事を引き受けたのは、あなたのお母さんなんだから。」

「無理です!? だってお母さん寝てだけなんだもの!?」

 駐車場には指令車が来ていた。

「zzz。」

 もちろん祐奈は寝ているだけだった。

「祐奈、遅い。手伝おうか?」

「イリスお姉ちゃん!? もう終わったの!?」

「もちろん。タワー東京なんか一瞬で水洗いしてピカピカにしてやったわ。」

 水の精霊ウンディーネ・ジャパロボのスキルを使い大量の雨を降らせたのであった。周囲の住宅が浸水していない保証はない。

「そうか! その手があったか!」

 さとみは何かに気がついた。

「いくぞ! シルフィード! 我、さとみの名において命じる! 優しい風!」

 風の精霊シルフィード・ジャパロボのスキルで優しい風を起こしツリースカイの窓を風圧できれいに掃除する。

「できた! 私にもできた! うん! キレイ!」

「さすが私の妹だ。アハッ!」

「おまえら姉妹は何でもありかい!?」

 普通の人間の麻衣には理解できない。

「まずい!? もしもヒルズ六本木を掃除しに行ったすずちゃんがサラマンダー・スキルを使ったら、ヒルズが火柱になっちゃうよ!?」

「そんなことをしたら炎上だ!? 早く消化に向かわないと!? いくぞ! さとみ!」

「はい! お姉ちゃん!」

 イリスとさとみは六本木に移動する。

「全く騒がしい姉妹だ。」

 麻衣は呆れる。

「zzz・・・・・・もう飲めませんよ・・・・・・え? もう一杯だけ・・・・・・そうですか・・・・・・うまい! アハッ! ・・・・・・zzz。」

 騒がしくても眠り続ける祐奈。

「ああ~、久美と麻理子が羨ましい。どこか遠くに行ったり、美味しいランチを食べたり、オシャレな服を買いたいな。」

 久美はすずとヒルズ六本木、麻理子は優子とミッドタウン六本木の高層ビルを掃除している。麻衣は祐奈のお守りでストレスがたまっていた。

「女子会するぞ!」

 突如目覚める祐奈。

「祐奈教官!? 起きてたんですか!?」

「私が関心のあることと私の悪口だけは聞こえてくるのだ。」

「なんて都合のいい耳なのかしら!?」

「麻衣、女子会で挽回できなければ上官侮辱罪でボーナス無しな。」

「そんな!? それだけはご勘弁ください!?」

「私が綾教官に歯向かえない気持ちが分かったか? 人の痛みを知れ。」

 目覚めた祐奈が動き出す。

 つづく。

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