maybe
@non_oldfashion
第1話
なおさんの背中はいつも青色だ。
「なおさん、好き好き好き」
私がそう言ってなおさんの胸に顔を踞ると、なおさんが私の頭を優しく撫でる。優しく優しく。
なおさんの青が私にまで伝わってくる。
なおさんをみていると、なおさんと一緒にいると怒ってたこととか悲しかったこととか全部全部平らになってなんだか大丈夫に感じちゃう。
それがなおさんの青。
赤いなおさんも黄色いなおさんもみたことない。なおさんはいつも青い。
「なんかあったの?」
私はその問いに反射的に首を振る。
「何にもないよ、何にもないの。
ただね、なおさんが好きなのよ」
なおさんが照れ臭そうにふふふっと笑ったから、私まで照れ臭くなってふふふって笑った。
なおさんに抱きついたままなおさんの顔を見上げる。そっと目があってどきっとしちゃって、好きだなって好きだよって伝わる。
気付いたらなおさんの顔はほんと目と鼻の先で。どっちから近付いたか、なんてわかんない。
そのまま目を閉じて
好きって言うみたいに唇を合わせた。
もう何十回ってしたキスだけど、何回したって慣れる気しない。
ずっとなおさんの体温を感じて、なおさんの好きを感じて私の胸は高鳴り続ける。
そのまま雪崩れ込むみたいに押し倒されて、いい?って良くないわけがないじゃない。
なおさんがテレビのリモコンを手に取って、テレビを消そうとする。だけど消えない。
「もううちのテレビボロだから、センサー?おかしくなってるんだよね」
そう言って彼はめんどくさそうに立ち上がって、テレビを消した。
あ、ちょっとさっきの番組気になったなってこういう雰囲気になってから今更思うの遅いよね。
録画しといて貰えば良かったなって、でもなおさん家のテレビ録画機能なかったなって気づく。
「またなんか変なこと考えてる?」
私の上にきて、彼はまたキスを繰り返す。
「考えてないよ、ただテレビ録画しておけばよかったなって」
「うち、録画機能ないよ」
「そんなの知ってるよ」
幼稚園児でもできちゃうような小鳥さんキッスから、だんだんだんだん深くなっていってついていけなくなる。
ああこういうのが年上の余裕か。
お互いの愛を確認し合って、ああやっぱりこの世で一番魅力的な男の人はこの人で。
「好きだよ、好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
「もう知ってるから」
そんな大人の余裕見せないでよ。
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