12話 メジャーデビューを勝ち取ったのは
トリを飾る【なつみかん】の演奏が終わり、番組も残すところグランプリの発表のみとなった。六組のバンドがスタジオで並ぶ中、司会がグランプリのバンドを読み上げる。
「『第3回
パンッ!! と紙吹雪が舞う。グランプリの【ストロベリー・シロップ】が中央に出て、ボーカルの瑚南が嬉し涙を流しながら、審査委員長から渡されたトロフィーを受け取る。他のメンバーたちも喜びを分かち合っていた。
会場の端に立つリカの顔に悔しさはない。清々しい顔で【ストロベリー・シロップ】を拍手で称えていた。一方でなこは拍手をしながらも悔しそうに涙を流している。
審査員による計十五票の投票は、一位【ストロベリー・シロップ】七票、二位【ドラマティックピエロ】四票、三位【
三位。
この結果をどう捉えるか。もしかしたらリカとなこで異なるのかもしれない。
会場の拍手に包まれる形でコンテストは終幕。
「私はこの結果を誇りに思う。審査員から一票でも票をもらえた。けど、上原さんとの差も改めて思い知らされた。努力の差かな」
「あたしは……悔しいっ。一番になりたかった……!」
「次を目指してがんばろうよ」
「うん……っ」
なこの涙をリカがハンカチで拭いてあげていると、
「リズの二人、少しいいかな。一つ話があるのですが」
声をかけたのは審査員の倉霧兜汰だった。
「はい?」
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