転生者殺しの死体蹴り集団《オーバーキラーズ》
原作は↓になります。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054918634229
行頭の一字空白や句点代わりの感嘆符、疑問符の後の空白は、Web小説だと色んな意見があるのですが私は守った方がいいと思います。
それよりは句点「。」を使うところに読点「、」が使われている箇所が散見される、偶数使用を定められている三点リーダー「…」を一つだけで使っている、この二点が気になりました。
そして改行や行間の使い方ですね。
描写については個人的な好みで加筆しています。
ちなみに句点の後の空白は空けない方が一般的ですがルールに触れないようですし見やすいので私は敢えて空けています。
唐突だが、俺は幼稚園の時から特撮ものが好きだ。 大人になると実は重い話だったんだなぁと痛感する脚本。 可愛い&イケメン俳優。 そしてヒーローのアクションシーン。
俳優は昔よりも今の方が断然いい。 だけど脚本に関しては難しいところだ。
日本の厳しい規制や保護者の苦情のせいで、幼稚園の頃に見ていたものと比べて表面的にはハードな内容はやらなくなってしまっている。
だから俺は画質が古くても昔の方が好きだったりする。
かと言って最近の作品が嫌いなわけじゃない。 何せアクションシーンの
しかし、幼稚園の頃からどうしても分からないことがある。 暴力を振るうのは同じなのに、怪人とヒーローではきっちりと善悪の区別がつけられていることだ。
先に怪人が暴れたからヒーローは暴力を振るってもいい。 つまりやられたからやり返してもいいと、そんな思想だと思っていた。
ある日、ヒーローごっこと言って先に襲いかかってきたヒーロー役の同級生を全員返り討ちにした。 幼稚園の頃から絵と殺陣の模倣ばかりやっていたので、子供にしては鮮やかかつ一方的な暴力だった。
しかしその日の夕方、複数人の女性に母が頭を下げていた。 返り討ちにした同級生の1人が「怪人のくせにヒーローを倒すからだ、べぇ〜」と女の人の後ろからあっかんべぇをしていたのは今でも鮮明に覚えている。
その日の夜、俺は両親にこっぴどく怒られた。 俺は梅干しのように真っ赤でしわくちゃな顔で泣いていたので内容はほとんど入ってこなかった。
やられたからやり返したのに、ヒーローと同じことをしたのに、どうして誰も俺を認めないんだ?
その日以来、俺は暴力に対して正義を抱くことは無くなった。
──チュンチュン、チュンチュン
狭くもなく広くもない、1人暮らしには適切かつ妥当な部屋に雀の鳴き声がなり響く。
「うー……眠ぃ……朝バイトなんて……入れやがって……」
ぶつぶつと文句を言いながら男が布団から這い出てきた。 前髪から覗く左目を不機嫌そうに歪ませながら、もう朝だと告げる時計を親の仇のように睨み付ける。
右目は髪で隠されている。 他に隠されているところはない。──つまりは全裸だ。
「いい加減いい夢見たいぜ。 なぁ、
男は枕元に入れた美少女の絵が入ったクリアファイルに話しかけると、さっきまで自分を優しく包み込んでくれていた布団を乱暴にたたんだ。──全裸で。
男はそのまま台所に向かい、衣類と常識から解放された姿のまま冷蔵庫を開ける。 半額のシールが貼られた鮪と山芋を取り出すと、意外と慣れた手付きで包丁を振るい、食べやすい大きさに切って皿に盛り付けた。──もちろん全裸でだ。
「いただきます」
無防備な姿のまま、解凍したごはんと鮪と山芋を混ぜたものを食べながらテレビをつける。
「さぁ、
見慣れない番組に首を傾げながら、男はテレビ画面の左上を見る。 そこには9:30と、ポップなフォントで今の時刻が映し出されていた。
それを目にした男の動きが止まる。 茶碗を持ったまま、そして全裸のまましばし固まり、ゆっくりとその視線が壁へ移動した。
8時──そこには起き抜けに確認した時と何も変わらずに佇む時計の姿があった。 どうやら時計の
ちなみに、男のバイトの時間は10時である。
「……うわぁぁぁぁ!!!」
絶望の叫びを上げると朝ごはんを飲み込むように食べ、目にも止まらぬ速さで歯を磨き顔を洗い、ようやく服を着た。 そして男は携帯を取り出し電話をかけた。
「もしもし……あのそちらで勤務している
男は携帯に罵声を浴びせると慌てて部屋を飛び出した。
全速力で走り、近場の港まで来ると人気がいないかキョロキョロと周りを見渡して確認する。
「まぁ大丈夫かな」
男が安心と納得が混じったような声を出した瞬間、男の近くで大きな
「よっしゃ急げぇぇぇ!」
男は躊躇いなくバイクに乗ると、アクセルを全開でかけ海上へと飛び出した。
男は気づいていなかったが、あまりにも急いでいたせいでテレビを消し忘れていた。 ちなみに、彼が出て行ってからの内容は高校教員連続失踪事件の報道と、大人気らしい星座占いのコーナーであった。 乙女座は12位、ラッキーアイテムは金髪。 その結果を彼が知ることはなかった。
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