番外編 夢未ともも叶の大げんか
⓪ プロローグ
道の左右にはちょっと高級そうなマンションや、住宅が連なる。
整備された白いタイルの道に等間隔で置かれた、外国の街のような街灯や花々は、いつもならお気に入りなんだけど。
栞町駅前通りから通りを一本折れた細い道、――親友のマンションへ続くその道で、立ち止まってため息をつく。
雨がザーザーぶり時々雷な心をひきずって、皮肉のようにきらきらとおてんとうさまがふりそそぐ放課後の図書室で、その日探したのは好きなミステリーやラノベじゃなかった。もちろん、親友がよくすすめてくれる外国の物語でもない。
イラストつきでわかりやすく解説された、友達関係をスムーズに進めるための本。
そこに書いてあった。
誰かに異常に腹が立つのは、その相手に期待する気持ちがあるからだって。
くやしいけど、あたしに関して言えば、ドンピシャだった。
夢なら、わかっていてくれると思ってた。――あたりまえのように。
それもつまりは、あたしがあの子に期待していたってことなんだろう。
『ももちゃんなんか、だいきらい!』
その言葉が、後になった今よけいに、胸にずさっと食い込む。
目に涙の幕までクリアに思い出されて、無意識にぐっと唇の裏をかみしめた。
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