第343話 麻弥との結婚は認めない!

「ハニー、パパからメッセージなのです」

「なんだって?」


 お人形さんのように淡々と麻弥たんは告げた。


「ハニーとの結婚は認めないと言っているのです」

「な――」

『なんだってぇええええええええええ!?』


 俺を押しのけ、桐葉たちが同時に叫んだ。


「ちょっと待ってよ。麻弥たんハーレムにいてくれないと、麻弥とハニーの二人から同時におっぱい揉まれるというボクの計画はどうなるのさ!」


 ――桐葉お前そんなことを考えていたのか!?


「マヤちゃんという我が家のマスコットがいなかったらシサエがマスコットになるしかないっす! そうしたらシサエはますますヒロインから遠ざかるっす!」


 ――お前のどこにマスコット要素があるんだ!?


「麻弥さんと一緒に暮らせないなんて寂しいです。それに麻弥さんがいなくなったらこの家で一番胸が小さいのは私になってしま、いえなんでもありません!」


 ――真理愛、本音が隠せていないぞ!


「はぁ!? 麻弥ってハニーのこと好きなんでしょ? 娘の幸せを邪魔するとか最低の父親ね!」


 ――流石は茉美。いつだって女子の味方だ。


「せや! 麻弥はんがハーレムにおらんくなったら寂しいわ!」

「糸恋、アナタはハーレムとは関係ないのではなくて?」

「え? いや、それはそうやけど、でも、そのぉ……」


 ――美方! 頼むから空気を読んでくれ!


「どうして麻弥のお父さん反対するんだろう? 反対する理由なんてないのに」


「そうね、ハニー君ほどの優良物件はないのに、麻弥さんのお父さんが反対する理由が知りたいわ」


「もっともだ。皆、ここは一度冷静にメッセージの続きを聞こう」


 舞恋、美稲、早百合さんの三人が我が家の良心過ぎて泣けてきた。

 あと、久しぶりに真理愛がポンコツ系ヒロインであることを想い出した。

 糸恋の腕の中でおっぱい枕を楽しんでいる最中の麻弥に、俺は水を向けた。


「それで麻弥、父さんはなんで俺との結婚に反対なんだ?」


 皆の意識が前のめりで集まる中、麻弥たんはぽつりと言った。


「この前の放送を見た、あんなハーレム淫乱野郎に娘はやれん、と書いているのです」


 みんなの前傾姿勢が解除された。

 すっと無感動に姿勢をただしてから、みんな冷静に息を吐いた。


「これは諦めるしかありませんわね」

「反論できへんわ」

「そういえばマヒしていたけど、普通はハーレムってだめなんだよね……」

「私も失念していました……」

「くっ、私の力でも一夫多妻法を成立させるのは時間がかかる」

「それにハニー君、超がつくほどのおっぱい国民だもんね」

「ハニーのえっちは弁護の余地がないよね。ボクと茉美が保証するよ」

「なっ、アタシは保証……するしかないわね。最近の揉み方だと……」

「ハニーちゃんほどの巨乳巨尻美少女マニアはいないっすね」


「あの、全部俺に被弾しているんだけど……」


「でもハニーちゃん、実際問題7人の巨乳爆乳美女美少女を囲っている成金男子のところに娘を嫁がせたいと思う父親はいないと思うっすよ」


「ぐっ、それは……」


 図星を刺すどころか貫かれた俺が胸を押さえると、麻弥たんが俺の名前を呼んだ。


「ハニー、パパと話してくるのでおうちにテレポートさせて欲しいのです」

「えっと、俺も行こうか?」

「いまのパパはちょっと以上に怖いと思うので来ちゃだめなのです」


 ――怖いパパ。


 頭の中で、娘のためにバーサーカーとなる地獄の暴れん坊将軍のような父親を想像して俺は震えあがった。


 麻弥たんのためなら俺はOUとも戦う自信がある。

 けれど、麻弥たんと結婚するための壁の高さと厚みにちょっと背筋が寒くなった。


 これがいわゆる、娘さんを僕にくださいイベントへの恐怖感というものか。


「わかった。じゃあ麻弥、メッセージをくれたらいつでもアポートするからな」

「だいじょうぶなのです。きっとパパを説得してみせるのです」


 ぺたんこなお胸をむふんと突き出す麻弥がかわいくて、俺は二度、三度を頭をなでてから彼女をテレポートさせた。


 すると、みんなの注目を集めるようにして桐葉が手を叩いた。


「はいはい。じゃあみんな、どうやって麻弥の父親を納得させるか話し合おうか?」

「それはもうサユリちゃんの総理大臣権限でいちころっすよ」

「職権乱用だろ?」

「奥井ハニー育雄、総理にそのような職権はないぞ」


 ――言われてみればそれもそうだな。


 美稲が腕を組み、冷静に頭を悩ませた。


「そうだねぇ、常識的に考えれば、私たちが直接お父さんと話すべきじゃないかな? ハニー君はお父さんが考えているようなふしだらな人じゃありませんよって」


「いや美稲はん、まず常識的に考えたらハーレムがありえないんやけどな?」

「う~ん、私もだいぶハニー君に毒されちゃったかなぁ」


 美稲が申し訳なさそうに頬をかいた。

 そんな美稲を可愛いと思ってしまう俺がいた。


「しょうがないわね。舞恋、麻弥のお父さんをサイコメトリーして弱味を握るのよ」

「茉美って男の人相手には容赦ないよね……」


 舞恋が頬を引き攣らせた。


「女の子の幸せを邪魔する奴に容赦なんていらないでしょ? アタシはね、女の子の幸せを邪魔する奴がいればたとえハニーでも千切って投げる覚悟があるのよ」


「俺は勘弁して」


「貴女方、先程からふざけたりイチャついたりして呑気ですわね。まぁワタクシはそこの淫乱ハニーと麻弥さんが結婚しようとしまいとどうでもよいのですけれど」


「そんなことはありません。少なくとも私は全力で麻弥さんがハーレムに戻れるよう考えています!」


「真理愛は自分がバストランキング最下位になるのを避けたいだけではありませんの?」


「そんなことはありません!」


 即答。

 だけどコンマ一秒、瞳が揺れたのは、俺じゃないと見逃しちゃうね。

 などとやり取りをしていると、麻弥からメッセージが届いた。


「アポート、大召喚フェアリー麻弥たん」


 リビングにちっちゃ可愛い麻弥たんが、ぽちょんと召喚された。


「どう――」

『どうだった麻弥!?』


 みんな、俺を押しのけて麻弥に詰め寄った。

 やっぱりこのハーレムの主って俺じゃなくて麻弥じゃないのかな?


「次の月曜日に、みんなでうちに来て欲しいのです」


 普段のお人形さんフェイスで一言そう言った。


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 4月19日と4月22日に2人の方からギフトを頂きました。

 いつも応援ありがとうございます。

 そして仕事をする活力になっているようでなによりです。自分の作品が他人に力を与えている、最高の褒め言葉です!

  

 次回更新予定は

4月30日 第344話 娘さんを僕にください!

です。

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 本作、【スクール下克上 ボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました】を読んでくれてありがとうございます。

 みなさんのおかげで

 フォロワー26067人 1383万4158PV♥201288★10449

 達成です。重ねてありがとうございます。

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