第165話 騎馬戦の後はファイナルゲーム!
本作の書籍版は大幅加筆修正して昨日発売、地方は本日発売です!
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騎馬戦はほとんどの選手が場外負けで、残ったのは俺と紳士淑女ぞろいの1年2組だけだった。
が、俺と桐葉のコンビネーションに勝てる生徒は皆無で、一着は俺ら1年1組、二着は1年2組という結果になった。
スタンド席の下から、頭上の巨大MR画面を見上げながら、俺はため息をついた。
「どうにか逆転したけど僅差だな」
「1年2組が二着だったからね。次のファイナルで向こうが優勝したら逆転されちゃうよハニー」
「次の種目ってなんだ?」
俺が問いかけると、桐葉はくちびるをなでて考えた。
「えーっと確か、人探しゲームだったかな? 全校生徒参加型の種目だよ」
「人探し?」
その言葉で真っ先に思い浮かべたのは、警察班の面々だ。
「そんなの真理愛たちがいれば、あれ? 真理愛たちがいないぞ?」
俺に続いて桐葉、美稲、詩冴、茉美が視線を巡らせた。
けれど、真理愛、舞恋、麻弥の姿はどこにも見えなかった。
すると、俺の疑問に応えるように、体育祭実行委員会のアナウンスが入った。
『それでは皆様! これより最終種目、人探しゲームが始まります。学園のどこかで、警察班のみんながティータイムを楽しんでいるので、その会場を見つけてください』
「それで真理愛たちがいなかったのか」
俺は得心して頷いた。
『ちなみに制限時間は、麻弥たんがお腹いっぱいになっておねむになったらです』
――実行委員め、麻弥たんにメロメロだな。でもわかる。
俺は得心して、深く頷いた。
『なお、最終種目で優勝したクラスには1万点が入るのでどのクラスも全力でお願いします!』
首位争いをしている1年1組と2組の生徒たちがブーイングを飛ばすがなんのその、体育祭実行員は、
『これも番組を盛り上げるため、あしからず』
と、しれっと言った。
――そういやこの体育祭って放送されているんだよな。
とか思い出す。
だけど俺は、やっぱり得心して、大きく頷いた。
「関係ねぇよ。どうせ俺らの目的は最初から優勝一択だ。だろ?」
俺が呼びかけると、桐葉、美稲、詩冴、茉美も頼もしく頷いてくれた。
「当たり前だよ。ハニー」
「目的は変わらないよ」
「優勝してホームページ先頭は詩冴たちが飾るっす!」
「あたしが日和るとでも思ってんの? やるからには勝つ、それがあたしよ!」
相変わらず、頼りになる。
昔のボッチな俺とは違う。
俺が仲間のいる幸せを感じると同時に、ゲームスタートの合図がされた。
「よし! じゃあ桐葉、ハチの嗅覚で真理愛たちを探してくれ」
「OKハニー。じゃあ詩冴、真理愛たちの匂いがわかるものちょうだい!」
「え? 持っていないっすよ?」
桐葉が手を突き出したまま固まった。
俺と美稲と茉美は口々に詩冴を責め立てた。
「いや持っていないわけないだろ!」
「詩冴さんなら三人の下着の一枚ぐらい常備しているでしょ!」
「あんた何のためにいるのよ!」
「シサエをなんだと思っているんすか!?」
詩冴は左右の白いツインテールをつかみ、ムチのようにして俺を叩いてきた。つやつやした感触が気持ちよい。
「ていうか人捜しながらハニーちゃんのアポートで一発じゃないっすか! えいえい」
「いや、種目名は人探しだけどルールは警察班がお茶会をしている場所を見つけろだから駄目だ」
「ぬあっ!? ひっかけ問題っす! あ、なら真理愛ちゃんを召喚して場所を聞けば」
『なお! 警察班メンバーをアポートで呼び出して場所を直接聞くのはルール違反です。というか警察班にはヒントも与えないよう厳命しています』
「だ、そうだ」
「ぬぐぅ! 明らかにハニーちゃん対策っすね!」
詩冴は、ハンカチがあれば噛みちぎりそうな程に悔しがった。
「待ってハニー君、本人をアポートして直接場所を聞くのがルール違反なら、本人の持ち物をアポートして桐葉さんがその匂いを辿ればいいんじゃないかな?」
「あ、それいいね。ハニーお願い」
「なんだかんだ言って、あたしらって結局ハニー頼みよね」
茉美は呆れつつも、声はどこか好意的な響きを含んでいた。
彼女なりに、俺を認めてくれているのがよくわかって嬉しい。
――桐葉の好き好きビームや真理愛みたいに控えめな好意もいいけど、こういうツンデレっぽいのも可愛いな。
三者三様の魅力を持った恋人たちの魅力に気をよくしながら、俺は目をつむり、集中してアポートを使った。
「えーっと三人の持ち物、持ち物、持ち物……真理愛と、麻弥と、舞恋の誰でもいいから……」
――舞恋って言ったら、借り物競争の時に恥ずかしい想いさせちゃったなぁ……ブラを外してズレて、極薄のランニングシャツ越しに舞恋の……あのツンとした感触って、やっぱり舞恋の……いやいや三人も彼女がいるのに俺はなんてことを、最低だぞ俺、馬鹿だぞ俺。死ぬのか俺。
「あ、なんか出たよハニー」
「へ?」
俺の手には、赤い大きなブラジャーが握られていた。
タグには【F】と表記されている。
――舞恋のブラだぁあああああああああああああああああああああ!
「見直したあたしがバカだったわよバカぁあああああああ!」
茉美のヘッドロックが炸裂。
俺の顔面は茉美のFカップバストに埋もれた。
――ぐぅきもちぃいいい! なんなのこいつ? 当たってんの? 当ててんの? 顔真っ赤だぞ?
「桐葉さんてハニー君のボディーガードなんだよね? あれ、助けなくていいの?」
「え? だってハニーも茉美も喜んでいるじゃない」
「「喜んでない!」」
「ハニーちゃん! そこをシサエと変わるっす!」
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本作、【スクール下克上 ボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました】を読んでくれてありがとうございます。
みなさんのおかげで
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達成です。重ねてありがとうございます。
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