第26話そんな気はしてた

「ところでジーンが言うほどだからヤバいことだと思うけど、ヒヨリちゃんに関することなの?」

「知りたければ契約しろ。なに、他言無用ってだけの契約だ」

「あら、軽いのね」

「ああ、ただ喋ったら死ぬだけだ」

「重いよ、ジーン!!」


つい口を出してしまったけど仕方ない。

命懸けとは思わなかった。


「ワタシにも理があることなのね?」

「ある程度な。まぁ、お前自身の問題だ」

「…分かったわ。契約するわ!」

「しちゃうの!?死んじゃうのに!?」

「あら、ヒヨリちゃん心配してくれるのね。でもワタシ、そんなに口が軽くなくてよ!!」


キリリとドヤ顔をするランちゃんはそれはそれは美しかった。

輝いていた。

いつの間にか拝んでた。


「ヒヨリ、なにしているんだ?」

「いや、ご利益ないかなって」


なに言ってんだ、こいつという眼差しを受け、何食わぬ顔で私はキリリと2人を見た。

何故か微笑ましげにランちゃんに頭を撫でられた。

ついでにジーンにも。


解せぬ。


契約には契約書という特別な紙があって、ソレに同意したらサインと血判を互いにするらしい。

血判!!

私には痛そうで見ていられない。

いや、もっと痛いことされたけど、ソレはソレ。

コレはコレ。


内容は服に関しての情報又は譲渡となっていた。

ソレを見た瞬間ランちゃんはサインと血判を終えていた。

え、いつしたの?


「やはり服のこととなると早いな」

「いいから早くサインしてちょうだい」


ランちゃんの目がマジだ。

ジーンも淀みなくスラスラと書いて血判を押した。

痛くないのかなって見てたら、頭をポンポンしてくれた。


「内容なんだが、ヒヨリのスキルなんだ」

「スキル?」

「服のデザインを見ただけで再現出来る」

「…ちょっと待って?え、本当に?なにそのめちゃくちゃなスキル」


ごめんなさい、ランちゃん。

それだけじゃないんです。

言えないけど。


「まだ手に付けてない完成したデザインはあるか?」

「え、ええ。あるけど」

「それで試してみればいい」

「持ってくるわ!」


なんだろ、おかしいなぁ?

私のせいじゃないのになんだか大事になっている気がする。


「これである程度買っていない服を着ていても誤魔化せる」

「いや、誤魔化しもなにも伝えてるじゃん」

「いや、お前のスキルがそういう能力だと誤魔化せるだろ?」

「今考えたでしょ」


そう言うとジーンはそっと目を逸らした。

あ、図星なのか。


バーンッと扉の音が聞こえたと思ったら、大量のデザイン画を持ったランちゃんが居た。


「とりあえず普通と豪華と再現不能なのを持ってきたわ!」

「デザイナーがなに再現不能なデザイン描いているんだ」

「夢の結晶よ!」


あ、それ全部私が着るんですよね?

何枚持ってるの?

というか、再現不能なデザインなんてさすがにムリ…


『可能です』


…うん。

そんな気はしてた。

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