第13話彼女に出逢うまで(ジーンside)
(ジーンside)
冒険者とは、時に他の冒険者と一緒に依頼を受ける時がある。
それはランクの高い魔物を狩る時だったり、山賊や人攫いなどの大型の捕物があったりする場合だ。
しかし、特に興味もなくソロで過ごしてきた俺だったが、ギルド受付嬢のアンについに言われた。
「ジーンさん!お気持ちは分かります。ですが、これ以上のランクを上げるには一度でも他の冒険者の方と依頼を受けることも大事です。大丈夫です、ジーンさんは顔がいいから黒目とか気にしない女性冒険者なんて山ほどいますよ!」
「何故女性冒険者限定なんだ」
「野郎共…失礼、男性冒険者は顔がいい男性を僻む傾向がありますので、ジーンさんの組みたがるのは一部の方だけですね。まぁ、その一部のごく数名は本当におすすめしませんから安心して下さい」
「アンの言うことはよく分からんが、一時的にパーティを組めということか?」
「それでも構いませんが、ジーンさんと他の冒険者が依頼を一緒に受けて、誰かと戦闘を共にする経験が今後必要になることもあります」
彼女は黒目である俺を唯一他と区別なく接してくれる受付嬢だ。
寧ろいつも俺の為になることを考えて助言してくれるような奇特な人だ。
出来る限り彼女の期待に応えてやりたいんだが、黒目のせいで遠巻きにされている。
第一ソロでBランクまでいってるのだから構わなくないか?
他の奴と一緒にといってもギクシャクするのは目に見えてるし、なんとか断りたいんだが。
「それにほら、今は捕物でわんさか居ますから選り取り見取りですよ!」
「捕物なんだろ?殺したらダメなのは苦手だ。手頃な魔物狩りはないのか?」
「それもそうですねぇ。うーん…」
「なら私達と受けてくれないかしら?」
話を聞いていたらしく、女性冒険者2人と男性冒険者3人がそこに居た。
「盗み聞きはいけませんよ!」
「あら?貴女の声が大きくて聞こえちゃったのよ」
「ぬぬぬ…」
よく分からんが、間に入るのは危険だと勘が言ってる。
「私達、ブラックウルフを狩りたいんだけど、いまいち不安だったからそこのお兄さんに手伝ってもらおうかと思っているのよ」
「確か貴女達、Cランクでしたよね?Bランクのブラックウルフ相手はやめた方が身の為ですよ」
「あら、だから手伝ってもらおうと思っているんじゃない。“漆黒”のジーンに」
“漆黒”というのは俺の見た目から付けられた呼び名だ。
気に入らないが事実だから何も言わないでいたら定着した。
しかしアンと同じくらい奇特な奴が居たものだ。
俺と一緒に討伐がしたいとは。
…間違えて斬り殺さないように注意しなくては。
そう考えてなるほど、と納得した。
アンが言いたかったのはそういうことか。
俺を人斬りにしない為だったんだな。
そうこう考えている内に話は纏まったらしく、俺は彼女達と討伐に行くことになったらしい。
アンが悔しげに彼女達を睨んでいた。
というか、俺の意思は無視か。
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