優しく笑ってくれる君だけに。

想い

私の目線の先にはいつも1人の男の子。

君がふとこっちを見る。慌てて見てないフリをする私。

｢おはよ。｣

って優しい声、優しい笑顔で言ってくれる君。

そんな君のことを、学校でも、家でも、ご飯の時だってずっとずっとぐるぐるぐるぐる考えて、頭の中は君でいっぱい。

｢だあー！！好きじゃないのにどうして！！｣

もう1人の私はいじわるだ。

｢気になるんでしょ？素直に認めちゃえばいいのに！！｣

なんて言ってくる。

｢うー！！うるさいなぁ！！私、知ってるの！あの子には好きな人が居ることも！！誰にだって優しいの！！｣

ぬいぐるみを抱きしめながら考える。

｢その優しいところ…私だけにっていうのは、無理かなぁ…。｣

頭の中では分かっている。彼のことが好きなことを。だけど認めてしまうのは…なんか嫌で。

好きな人がいることを知ってて好きになるなんて、辛いだけだから。

でも好きって気持ちを伝えなきゃ、ずっとぐるぐるしちゃうし、忘れようと思っても絶対無理。

なら、いつも優しい声で、優しく笑ってくれる君にだけ、この想いを伝えたい。隠そうって何回も考えたけど、きっと伝えたらスッキリできる。だから、だから、届かなくても良い。君にとって迷惑かもしれないけれど。

でもどうやって、伝えよう…？

手紙なら、読んでくれるかもしれないけど誰かに見られたら嫌だし。

………君の唇を、奪っちゃう？？

ううん！！付き合ってもないのに！そんな事しちゃダメだ！

………やっぱり直接言うしかないのかな。

｢よし！！｣

なぜか今なら言える気がした。

君に、”今から公園、来れる？”って送ったら、

”すぐ行くね！”って来たから待っていると

｢お待たせ。｣

ってほんとにすぐ来てくれた。

｢いきなり呼んでごめんね。｣

｢ううん、どうしたの？？｣

｢伝えたい事があって…。｣

私は深呼吸して、好きです。と言った。

君は、一瞬驚いた顔をして、ほかの誰にも見せたことがないような優しい笑顔を、私に、私だけに向けてくれた。