世界が俺をロリコンにしようとしている

落花生

第1話

バレンタインの日に、杉田結城は告白された。

 

校門の前で、その子は待っていた。寒さと緊張で震えながら、白い息を吐いて結城を待っていた。他校の生徒が来ることは珍しく、その少女はじろじろと好機の目にさらされていた。それでも、その子は待っていた。


 たった一人の少年のことを。


 やがて、沈んだ少女の顔に光が差す。


 意中の少年を見つけた少女は、走り出した。


 だが、寒い外で待ち続けて少女の足はもつれてしまった。手作りのバレンタインのチョコレートも地面に投げ出されて、雪と泥に守れて汚れてしまう。そのことに少女は涙目になった。頑張って作ったチョコレートが粉々に砕けるのは、彼女にとってはとても心が痛い光景だった。おもわず涙ぐむ少女に、結城は手を差し出す。


「大丈夫か?」


 その時に、少女は確信した。


 この人こそが運命だ、と。


「好きです」


 少女は、そう語った。


 結城は驚いて、目を白黒させていた。生まれてこの方告白なんて初めてのことだったし、告白してきた子のことについても驚きが隠せなかった。


「好きなんです!」


 少女はもう一度告白をする。


 だが、少年の反応は変わらなかった。


「どこの子だ?」


 結城の疑問に、少女は答える。


 少女は嬉しそうに答えた。


「はい、津川氷です。榴ヶ岡小学校の小学三年生です」


 高校二年生の結城はその言葉に、唖然とした。


「結城さん、好きです。将来は結婚してください!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る