20

頭を抱える私に、大野くんはふうと息を吐く。そして楽しげに言った。


「しょうがないな、じゃあ俺が彼氏になってあげますよ。」


「ええっ!」


「いろいろ練習したいでしょ?」


「練習?」


「恋人ができたときの練習ですよ。」


た、確かに、何をしたらいいかわからないから、それはありがたいかもしれない。私のダメなところもいろいろ指摘してほしい気がするし。

でも、いいのかな?

後輩にこんな甘えちゃって。

大野くんをおずおずと見ると、頬杖をつきながら余裕の表情で私の答えを待っている。


「えっと、じゃあよろしく、オネガイシマス。」


私の答えに、大野くんは満足そうに微笑んだ。


「さっそくですが、今週の日曜日、デートしましょう。」


「でっ、デート?!ど、どこへ?」


「どこがいいです?姫乃さん行きたいところあります?」


行きたいところを考えてみる。

今私が行きたいところは…。

ピーンと閃き、私は、はいっと手を挙げた。


「ある!あります!」


前のめりな私に、大野くんはまた楽しそうに笑った。

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