第3話[二人の馴れ初め]

あれは約二年前の夏。

当時十四歳だった頃の話しよ。

私と夫のまもるは、怪人のアジトに潜入していた。

ボスの部屋の前で、夫は私に向かいこう言ったの。


「この戦いが終わったら、付き合って欲しい。」


私はその告白に対し、頷いて応えたわ。

夫は私に笑顔を向け、ボスの部屋の扉に手をかけた。


「待って、やはり皆んなが揃ってからにしない?」

「私達、二人何て無謀よ。」


「大丈夫だ。」

「俺のオナラを信じろ。」


信じてあげたい。

だけど、オナラ何ていつでも出るって訳ではないでしょ。

私はその事を指摘したわ。

すると夫は…。


「大丈夫だ。」

「コンビニで芋羊羹を買ってある。」


そう言って夫はボスの部屋の扉に手をかけた。

そんな夫を私は再び止める。


「くっ、何だよ。」

「何で止めるんだよ。」

「はっ、まさか俺と付き合いたくないから止めるとかか?」


私は首を横に振り応える。


「じゃあ、何だよ。」


「やっぱり皆んなと一緒の方が…。」


夫は眉間にシワを寄せ、私に向かって怒鳴ったの。


「皆んなだと…。」

「イエローは大食い選手権に出場するからと言って不参加。」

「ブラックに関してはデートとかいうふざけた理由で来なかったし、唯一やる気のあるブルーも、此処へ来る途中で転けて右足が複雑骨折で救急車に運ばれ入院。」

「全員揃うまで、どれだけの時間がかかると思ってるんだ。」


それでも、最後は皆んなで終わらせたい。

ここまで一緒に頑張ってきた仲間達と一緒に。

私の言葉を聞いて、夫は涙を流しはじめた。


「お前に何が分かる。」


「えっ?」


「お前に俺の何が分かるんだよ。」

「毎日毎日、弾丸の様な風圧のオナラを出し、ケツが切れて毎回椅子にソッと座る俺の気持ちがお前に分かるか?」

「この歳で切れ痔になった俺の気持ちがお前に分かるのか?」


夫は顔中グシャグシャにして、ボスの扉を開け、芋羊羹を食べながらオナラをした。

痛みに悲鳴をあげながら、夫は怪人のボスを倒したの。


「へへへ、オナラ一本で天下を取ってやったぜ。」


こうして私と夫は結ばれたのよ。


お母さんの話しを聞いて、私が思った事は、実の娘に年齢のサバをよむのやめてくれない?

だった。

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