さよならの前に

東山 はる

プロローグ

 私、村瀬陽菜には、生まれてからまるで双子の兄妹みたいに育ってきた幼なじみがいる。

 彼の名前は丹羽大樹。


 大樹とはお家が隣同士で、物心ついたときからずっと一緒にいる。

 ご飯を食べるときも、遊ぶときも。お昼寝をするときだって。

 私のそばにはいつも大樹がいた。


 小学校でも、中学校でも一緒。高校だって大樹と一緒のところに行きたくて、苦手な勉強も一生懸命に頑張った。


 こんなに大樹と一緒にいたいと思うのは、きっと大樹のことが「好き」だからなんだ。そう気づいたのは中学生になった頃。


 でも、私はまだ自分の気持ちを大樹には伝えていない。

 だって、大樹もそう思ってると思っていたから。伝えなくても、自分の気持ちは必ず届いていているはずだと。


 だから、これからも、この先も、私は大樹とずっと、ずっと一緒だと思っていた。


 ――あの言葉を聞くまでは。

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