EP71.魔女に訊かれて姫が…
…俺は
今、窮地に立たされているであろう男だ…
説明しよう!今の状況を!
まず俺は、[学園の「魔王」様]こと
すると、その噂の中心人物である[学園の「姫」様]
そこまでは良かった!いや勇翔がいるため俺話せないからそんなに良くはないんだが…
まあ、ともかくだ。
しかし、次にそいつが話題に入ってきて俺は嫌な予感がしていた…
その名は
[学園の「魔女」様]がやってきて、「RPG四聖人」が揃ったのだ!
俺としては騒がしいのも嫌だし、勇翔は苦手意識がある…紫苑ともタイプ的にあまり話したくなかった。
そのため、その場を去ろうとした…のだが!
なんと、紫苑が俺のことを話題にした結果!小夜と零のプチ計画により無理やり姿を現れさせられたのだ!
デコピン痛かったよまったく…
「…あなたが江波戸蓮なのかしら…?」
閑話?休題。
紫苑が目を丸くして俺を見ている。
正直答えるか戸惑い、小夜と零を見るが…
小夜はいつもよりかなりの作り笑い、零は誤魔化しの
いやふざけんなよ!?
「あの…どうなのかしら?」
「ほら蓮、早く頷くんだ」
「そうですよ江波戸さん。私たちの輪に入りましょう?」
「うるせえ!勘弁してくれよ!?」
なんで俺がこんな事になるんだ…?
でもなあ…現状握力ゴリラの小夜に手首をガシッと掴まれて、逃げれないんだよなあ…
これが窮地に立たされたってやつなんだろうな…
「そう、あなたが江波戸蓮なのね…初めまして。私は雪野紫苑、以後よろしくね」
紫苑が二人を気にせずに、スカートを持ち上げて頭を下げた。
品行方正がずば抜けているとは聞いたが、これはどっちかっていうとお嬢様じゃないのか?
まあ、こんな礼儀正しい挨拶されて返さないのもあれだしなぁ…よし。
「おう…初めまして、俺が江波戸蓮だ。こちらこそ以後よろしく頼む」
左手を胸に当て、俺も頭を下げる。
「ところで、貴方はいつからそこに居たのかしら?」
いや『ところで』で終わらされたよ。
「…最初から居たんだが…」
「「え!?」」
紫苑と勇翔が同時に目を見開いた。
俺は零に助けるようアイコンタクトを試みると、零は頷いた。
「最初は僕と蓮が話していて、そこに白河、そして勇翔が来ていたんだ。
蓮は影が薄くてな、勇翔が来た時点で話に入れなかったんだよ」
「え、そうなんだ…ごめん、最後まで気が付かなかったよ…
…ん?俺が来てからってことは、白河さんは気づいてたの?」
「はい、気づいていましたよ。その上で御二方に話しかけたのですし」
「なるほどね。つまり、江波戸蓮。
あなたは私たちの会話を一部始終全て目の前で聞いていたと?」
…なあ、何故か紫苑が睨んでくるんだが…ここはなんて答えるのが正解なんだ?
あの姉貴ほど怖くはないが、これでも充分怖いな…
「…あ…申し訳ないわ。私ったらまた…」
「ん?」
すこしおじけついていると、紫苑が急に頬に両手を当てた。
少しだけ見える頬の端はほんのり赤らんでいる気がするんだが…どうしたんだ…?
「さっきの、睨んでると思っちゃったのかしら…?」
「…は?違うのか?」
「そんなっ…私はただ疑問に思っただけなのよ…訝しげに見ていたのは確かだけど…」
いやアレ胡乱な目なのかよ!?
それにしては大分目が細かったなあ…
というか急に弱気になったな紫苑!?冷たい印象がもう全然ないぞ!?
「ごめんなさい…」
「あ、いや…それは別にいい。で、一部始終聞いていたが、それがどうしたんだ?」
「そうだったわね。一部始終を聞いたのなら、江波戸蓮。あなたはさっきの件について、どう思ったのかしら?」
スイッチの切り替え早すぎないか?
俺もう追いつけなくなってきたんだが…
「…どう思ったかって?」
「ええ。あなたはたしか昨年の二学期期末考査からずっと一位だったわよね?」
「そうだが…」
よく覚えてんな〜こいつ。
俺って名前ほとんど知られてないのに。
やっぱ小夜と似てて、そこら辺は律儀なのかね?
それとも品行方正がずば抜けてることで有名な紫苑のことだから、それくらい覚えてて当然って感じなのかね?
まあどっちでもいいけど。
「それなら、勉学ではかなり優秀なあなたが、四聖人…だったかしら?どうしてそれに含まれてないのかしらね?」
「そうだな…たしか蓮、運動も僕や白河よりできたよな?」
「え、零よりも!?」
おい零、余計なこと言うな。
俺は別に目立ちたくないから、四聖人に入れられるのは勘弁して欲しいんだが…
「え、そうなの…?運動もトップレベルの二人より…?
え、それなら勉学、運動どちらもあなたが一位なんじゃない?」
あかん、なんかめっちゃ面倒くさい展開になってきた。
ここは言い訳…というか、俺の足りないところをだな…
「待て待て。たしかに、勉強も運動も努力を怠った覚えはない。
が、そもそもとして、顔が残念な俺には入るには無理な話だ」
そもそも入りたくねえけどな!
すると紫苑は首を傾げた。
「そんな事ないんじゃない?」
「は?」
いや、俺の顔って中性的でイケメンとかと縁のないところにあるんだが…
そう思っていると、紫苑が俺をジロジロと品定めするように見てくる。
なんか居心地悪いからやめてくれんかね…
「…やっぱり、別に残念な顔じゃないわよ。
私的にはまだ好きな部類だから、自信持ちなさい?ね?」
「お、おう…?」
急に褒められたな…
すると紫苑は満足気に頷いた。
「じゃあ、そろそろ本鈴がなるし、私は教室に戻るわね。
あなたたちも、チャイム前着席略してチャイ着をしっかりね!」
そう言って、紫苑は去っていった。
俺の顔…ねえ、自信はあまりないが、頭の片隅だけにも入れておこう。
四聖人になるつもりは全くないがな!
「じゃ、戻るか」
「そうだね」
零と勇翔も早々に教室に戻っていった。
結局、勇翔には『認識さてなかった』としか言われてない気がするんだが…まあいいか、そんな話したい訳でもないし。
「じゃあ戻るぞ、小夜」
「………」
「…小夜?」
小夜が俺をジト目でみてそこから動こうとしない…どうしたんだ?
というか、今考えると小夜って途中からずっと喋ってなかったよな…
「………蓮さんのばか」
「…は?」
俺が首を傾げると、小夜はプイッと顔を背けて足早に教室へ戻ってしまった。
…なんなんだ?『ばか』って…うーむ…
一生懸命意味を考えたが、その答えが俺の中に出ることは無かった。
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