第4話

 聖本物川語り序章。聖本物川降誕物語において、人類とオークの戦いが描かれている。こちらの世界のブリテン島に相当するの地域を人類が、その他のヨーロッパ大陸をオークや巨人などが存在する地域とされている。この大陸に流れる川に聖本物川は降誕した。そして、人類は本物川率いる幻獣種と戦争し敗北した。

 これから話すのは、敗北者の物語である。赤く染まり続けた本物川の戦場の歴史だ。



「鉄砲隊前へ!」


 オークの大群が迫る中、俺たち鉄砲隊が迎え撃つ。


 ドン!!


 一斉に放たれた銃声は大砲のように戦場に響いた。


 「第二陣前へ!」


 俺は弾倉に弾を込めた鉄砲を担ぎ前へ出た。オーク達が迫るのが見える。銃弾に怯まぬその巨体が駆けてくる。


 ドン!!


 (穿て!!!!!!)


 俺は思いを込めて引き金を引く。放たれた銃弾はオークの額に当たる。しかし、その弾が貫くことはなかった。血潮を振りまきながらオークが迫ってくる。


「聖騎士隊の準備は整ったか!」


「準備は完了しました。神の加護は十分です。」


「よし、オークを蹂躙する!銃砲隊は装備を改め支援に回れ!」


 俺はライフルを捨て盾を持つ。オークの怪力に対しては紙に等しい。人の壁としてオークの前に立つのが俺達の役割だ。腰のホルスターに収まっていたS&Мが疼いていた。


 聖騎士隊とオークの戦闘が始まった。騎士は上段に剣を構える。その剣は聖なる光を帯びていた。

 オークは手にした棍棒を振り上げ突撃してくる。盾を持った銃砲隊の仲間が間に入り止めにかかる。しかし、振り上げられた棍棒は降ろされた。


 ぐぅちゃ


 人間の潰れる音が耳を貫く。次は俺の番だ。


 聖騎士は神の加護を受けた剣でオークを切り裂き反撃に出る。一刀両断されるオーク達。しかし、物量で我が軍は押され始めた。


 目の前のオークが棍棒を振り上げた。俺は盾を捨て、自然とリボルバーを抜いていた。


 バン!


 銃声が鳴る。リボルバーから放たれた銃弾はオークを貫いた。


 バン!バン!バン!バン!バン!


 オークが引く。その隙に薬莢を捨て弾丸を装填する。


 聖騎士隊もそれを逃さなかった。俺を中心に反撃が始まる。切り捨てられるオーク達は大勢が悪いと思ったのか引いていく。


「逃すな!追撃せよ!」


 号令が鳴った。聖騎士隊は逃げ遅れたオーク達を切り伏せる。俺達、銃砲隊は盾をライフルに持ち替えて追撃した。

 逃げ惑うオーク達はライフルの弾丸に怯み、立ち止る者、膝をつく者、反転し襲い掛かって来る者。士気の下がったオーク達は俺達の敵ではなかった。銃弾の雨がオークを蹂躙した。戦場に残ったのは空の薬莢と戦士たちの死体。そして、そこから流れる血の川ができていた。

 

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