第8話 叶音に話す
「お父さん、私のお母さんは誰?」
叶音、中学校1年生の夏、叶音がそう言った。
きっかけは中学校になって違う地区から通ってくる明日香ちゃんという友達らしい。その子の家はシングルマザーなのだそうだ。明日香ちゃんの父親は病気で他界していて母親は明日香ちゃんにその父親の話を小さいころから聞かせて育ててきたらしい。明日香ちゃんと話していて叶音は、自分が母についてほとんど知らないことに疑問を抱いたらしい。
僕は叶音が事故のことを思い出して何か弊害が出ることを恐れて兄と兄のお嫁さんが元からいないのが当たり前、として育ててきてしまった。
ここまでなんとか誤魔化してきたが、叶音ももう中学1年生。これ以上隠すのは逆に叶音にとってかわいそうなことかもしれない。
「叶音に話さないといけない事がある」
奇しくも今日は金曜日。時間はたっぷりある。
兄と、兄のお嫁さんは叶音との写真をたくさん撮っていた。
兄の家にあった兄さんを感じるもの、兄のお嫁さんが大切にしていたらしい服飾品などはずっと保管してある。叶音に話さなければならないこと、話したい事がたくさんあった。
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