ぐぅ
某掲示板サイト
特設!【トット氏を暖かく見守る会】
八月○日
エフ局 十九時〜『身近なマジシャン頂上決戦!』にてトット氏出演決定!
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ビスまる子
「ちょwトット氏やらかしてるwwww」
サルマール人
「ガチガチでしたねw」
サブイボ氏
「あかん! 身内の失敗見てるみたいでめっちゃはずい!!」
明太子リスト
「あの人ティッシュ好きすぐる笑!」
新鮮な組
「がははは! 流石はトット氏、我らの期待を裏切りませんなっ!」
空白
「実質1分位しか出てないww」
PPv
「緊張してたのかな?? 様子変だったね」
明太子リスト
「放送事故レベル」
母からオカカ
「出てきた時の愛想笑い気持ちわりぃな!」
亀吉代打
「四足歩行」
カール1世
@PPv
「変でしたね! 挙動不審だったし」
正すタダシ
「本日急上昇ワード1位、トット氏薬物疑惑」
ノータリーズカフェ
@正すタダシ
「やめなさい」
ロリポップロリポップ
「ミーちゃん出ない……グスンっ」
祖父リーズ
「流石ベテラン司会者、上手い事誤魔化してたな」
チキンとミート
「明日の配信が楽しみ♪」
亀吉代理
「除菌消臭!!」
雄チキン
「う○こ漏れそうだったとか笑?」
大空つかさ
「録画した、十回は抜けるwww」
鉄 コウタ
「ははっ! ホモサピニッシュにしては良くやった方だな!!」
サブイボ氏
「落ち込んどるやろな〜、明日は励ましたるか! それと亀吉代理スベっとるから自重して」
PPv
「しかしドンドン登録者数伸びてるな〜、トットさんもお金持ちの仲間入りか」
いつもココから
@PPv
「ほんと、凄いことなってますね。トレンド一位にも入ってますよ」
JK代表おばさん
「そんなトット氏が好き♡」
明太子リスト
「トットさんのゴールはどこなんですかね?」
佐川遅便
@明太子リスト
「さぁ笑?」
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♦︎♦︎♦︎
通路を足早に進む、エレベーターに乗り込み控え室のある四階のボタンを押す。
ガンっ! 誰かの手が挟まり閉まりかけのドアが開く。
「はぁ! はぁ! トットさん、はぁ! 大丈夫ですか??」
息を切らせ亀吉が入ってくる、亀吉が入りきると閉まるのボタンを連打する。
「……そのぅ、ごめんなさい!私が本番前に余計な話をしたせいで……」
狭い空間の中で、膝に顔が付きそうな程上半身を折り曲げ謝る。
「いえいえ! 気にしないで下さい。多分テレビが性に合ってないだけで、亀吉さんのせいじゃないですよ! ちょっと背伸びし過ぎちゃいましたね」
カラカラと愛想の無い笑い声を出す。
「折角の亀吉さんの番組を台無しにしちゃって申し訳ありません!」
ふと我に返り謝る。ペコリと頭を少し下げまたドアの方を向く。
エレベーターのドアが開き、足早に通路を進む。後ろには亀吉がついて来ていた。トット様と書かれた控え室に着くと急いで扉を開ける。トットはテーブルの上に置かれた自分の携帯電話をサッと引き寄せる。液晶を確認すると着信が一件、ジジからだった。
「えーっと、えーっと……」
ジジからの着信は無視し、急いでカカの番号を出す。数度の呼び出し音の後、カカの声が耳に届く。
「ちょっとあれなに?? 久しぶりに大声で笑ったんだけど」
いつものカカの声に、
「ああ! ああ! ちょっと緊張しちゃって。ミーは今何してるの??」
ふーんと声が聞こえ、ミーにトトさんだよと言う。ガサゴソと音がしてミーが電話に出る
「トトっ? いまごはんたべてた! てれびでてたねー! みんなびっくりしてたねー!」
モゴモゴと食べながら喋るミー。御行儀が悪いよと言ってミーにお茶を飲ませるカカ。
「ミーがねー! あれトトさんがトイレいくときのかおだーっていったらねー、カカさんがすっごくわらってたんだよー!」
電話の向こうで二人の笑い声が聞こえる。そうかそうかと言って話しを聞き、直ぐに帰るからと言う。切る間際カカが「大丈夫?」と聞いてくる。「全然問題ないよ」と言って通話を切る。
「はぁぁぁぁぁ〜、無事だった……良かった、良かったぁぁぁ〜」
吊り上げられた糸が切れる様に、床に座り込む。そっと寄り添う様に亀吉も座る。
「ごめんなさい、ご家族のことまで考えが至らなくて……」
目まぐるしく動く時の中、トットの心配ばかりで家族のことに
「いやいやいや! 亀吉さんが謝ることじゃ無いですって!! 私が変な想像をして一人で焦っただけなんですよ!」
不意に番組の事を思い出し、自責の念にかられる。
「そっ、それよりも番組はどうなりましたか?? 私、よく覚えて無くて……ぶち壊したりしてませんか??」
そんなことは無い、全く気にしなくて良いと言われ、少し気持ちが楽になる。
「ただ一応発案者なのでスタジオに戻ります。トットさんはこちらでゆっくりされても良いですし、直ぐにお家に帰られても大丈夫です、後はこちらでやりますので」
帰るのだったら車を用意すると言われたが
荷物をまとめテレビ局を出る。
「小沢さん、小沢
若い女性の声に振り返る、そこには先程のスタジオに居た、高低差のある男女の二人組が立っている。一瞬身構えるが、優しそうな笑顔につい
「わたくし、こういったモノです。少々お時間宜しいでしょうか?」
差し出された手には一枚の紙が握られている。トットは受け取り、名刺に書かれた文字を読む。
[ 真実新聞 社会部 木村ハナコ ]
聞いた事も無い新聞会社だった。正直名前も取って付けた様に感じる。
「その……、どう言ったご用件でしょうか??」
名刺を見ながら質問する。
「小沢さんの力についていくつかご質問があります」
木村が答える。2人ともニコニコとしているが、男性の方は一言も喋らない。
「いや〜、今日はちょっと疲れてて。後日私から連絡します」
どうにかその場を後にしようと誤魔化す。
「いえいえお時間は取らせません。今から帰るのでしたら私共の車で御送りします。○○は通り道ですし」
唐突に住所を言われ反応してしまう。後ろで男が「あっ」と言うのが聞こえた。木村の方は意にも介さず話を続ける。
「お話は、車内で済ませますので」
またもやゾワゾワと不安感に襲われてくる。足元から徐々に登ってくる様に……
何かこの場を切り抜ける手は無いかと考える。手に持ったままの名刺が目に入り裏返す。そこには真実新聞社の住所や電話番号が書かれていたが、どれも1・2・3・4……と数字が並んでいる。確実に偽物だと確信し立ち去ろうとした時、ちっ! と舌打ちする音が聞こえる。男の顔から笑みが消えていた。
「いえいえ! そんなご迷惑でしょう! 私は歩いて帰りますので失礼します!!」
ジワジワと後退りながら喋る、はぁっと溜息を吐く木村。後ろに控えていた男がトットへと詰め寄る。
「まあ遠慮せずに、こちらへ来て下さい」
そう言ってトットの肩を掴もうとする。
肩を……二の腕を……腰を…………足首を??
驚きの表情で見つめる二人、トットの足は地面から離れ、今や地上から三メートル程の高さまで浮かんでいる。番組の締に用意していたとっておき、『浮遊術』である。
トットは驚く二人を地上に残し、ドンドンと遠くなる。
♦︎♦︎♦︎
男「だから俺に任せろって言っただろうがっ!」
女「あいつは女に弱そうだって言ったのはそちらでしょうに」
男「それにしたって何だあの名刺は! 苗字は俺ので、数字は並んでるだけ。適当にも程があるだろうが!?」
女「だって一回しか使わないのに面倒じゃないですか、それに私確認しましたよ」
男「いつ確認したって!?」
女「あなたがアホヅラ下げて、
男「ぐう……!」
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