202011 ジャパロボ チーム祐奈3-4

渋谷かな

第1話 チーム祐奈3-4

「弱気者の痛みを教えてやる!」

 みなみは寝ている広瀬祐奈に宣戦布告する。

「合格。」

「はい?」

「正義感が強くて素晴らしい! 私は気に入ったわ。」

「え? あの・・・・・・私の話を聞いていましたか?」

「聞いてて涙が出てきたわ。あなたはお姉さんを失って悲しかったのね。寂しかったのね。分かるわ。あなたの、その気持ち! 私も気が付いた時には仲間は全員いなくなっていたの!」

 今明かされる麻衣の壮絶なる過去。

「それはおまえが100トン・サンマーで殴りまくるから、みんなが逃げ出したんだろうが。」

「アハッ!」

 久美がチャチャを入れる。

「一人で寂しくしていた時に祐奈教官に拾ってもらったの。もし祐奈教官に出会っていなければ、今頃私はサンマ漁船に乗っていたでしょうね。」

 哀愁の漂う麻衣。

「そんなことがあったなんて。」

(もしかして広瀬祐奈という人間は、そんなに悪い人間ではないのか?)

 みなみの祐奈に対する偏見が薄れていく。

「次にチーム祐奈でメカニックを担当している久美ちゃんからの質問です。履歴書にジャパロボの操縦歴とカスタマイズができるとあったけど、今までの乗ったジャパロボの機体とカスタマイズの実験例を教えてください。」

「はい。今までに都庁01タイプに乗りました。カスタマイズは、ブレイン・ウェイブ・システムを改良したり、ジャパロボ・ビックの触手や高エネルギー砲を作成しました。」

「んん? それってどこかで聞いたような?」

「あれじゃない? 東京都ジャパロボ開発機関からジャパロボが強奪された事件がったじゃない。」

「ああ、そのジャパロボに迷惑な脳波システムが搭載されていて、世界中のブラックマーケットに技術が流出したってやつね。」

「そうそう。全国ジャパロボ大会の決勝戦のジャパロボ・ビックも脳波システムで無数の触手と高エネルギー砲を動かしていたっていう。あれよ。」

 心当たりのある麻衣と久美。

「ん? どうして前田さんは日本帝国の秘密事項を知っているのかな?」

「だから私は東京都ジャパロボ開発機関からのジャパロボの強奪の実行犯、全国ジャパロボ大会に巨大ジャパロボ・ビックを元東京都知事大江百合子に提供したテロリスト集団、反大日本帝国同盟ジャパカイダのリーダー、前田みなみだと履歴書に書いたはずですが?」

 みなみは口上を述べる。

「確かに履歴書に書いていた!?」

 麻衣と久美はみなみの履歴書を思い出した。

「ギャグでなく本当だったのか!? どうしましょう!? 祐奈教官!?」

「zzz。」

「こんな時に寝ないでくださいよ!?」

 どんな時でも眠れる祐奈であった。

 つづく。

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